2004年05月23日

造船の街

完成を間近に控えて火災を起こし、船体の4割を失った大型客船が完成した。
長崎港では、造船所の労組が主催して「支援感謝イベント」が開かれた。

家族そろって出掛けた。
夕暮れ時、遊覧船に載り、間近に客船を望むことができた。

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実はこの船の起工式の取材をさせてもらった。
キールの部分に銀のコインを埋め込む儀式も初めて見させてもらった。

三菱は、船ではなく自動車で、このところ企業体質についてなにかと攻められている。
火災の際にも「隠そう」という事実があった。
私が体験したこれまでの取材の中でも、それを感じることも確かにあった。

だけれども、この日はそんなこともすっかり忘れて、皆で世界最高級の船の完成を祝福するムードがあった。

遊覧船で、私の隣にいた老夫婦は、おそらくは妻を連れてきた造船マンだった。
客船に近づくまでは、「あそこを作業したときは…」と妻に説明をしていたが、間近に船が迫ったときは、感無量の表情で黙って船を見上げていた。
世界一の船を作ったという気概とプライド。

岸壁で話を聞いた別の造船マンは「あのときはホントにどうなるかと思った。ホント、良かったよ…。」と声を詰まらせた。
もう一歩で完成という時点の火災で、精神的にダメージを受ける職人さんたちも多かったという。

この完成イベントにやって来て、「すごいね、すごいね」と声をあげる市民を見て、「なんだかんだいっても、やっぱりこの街は造船の街なんだ」と思う。
「長崎の造船所はやっぱ凄かバイ」と思っているのだと感じた。