釣行報告

NO.31 秋田県・雄物川水系・役内川水系の渓流釣り

30年振りの大雪だった昨年の秋田県・秋ノ宮温泉郷。例年よりも2週間程早めに出掛けたのが裏目に出て、増水のため満足な釣りが出来なかった昨年に懲り、今年は逆に2週間程遅れて出掛けた。今冬も大雪だったという情報があったため、渓流釣りの大きな楽しみであるタラの芽、ワラビなどの山菜には目を瞑った。

今年は、メンバーの長老O氏が、仕事のため無念の不参加(釣行前、中、後と3度の電話が全てを物語っていた)。代わって小生の友人110kg巨漢・コバ(当人の申告により120kgから訂正)と小生の相棒の友人、S君(通称・パパ)が参加して総勢5人で出掛けた。この2人の“新参者”は、共に渓流釣り初体験である。

東京から凡そ6時間、午前5時前に役内川本流の中流域に到着した。まずは水位を確かめるとほぼ平水位でホッと一安心。

取り敢えず、周辺で最も足場がよく、釣果実績もある観測小屋付近に小生が2人の新参を連れて入り、相棒とその友人の丸ちゃんは、1km程下流に入った。初体験の2人に何とか1尾でもと思って入った釣り場だったが、何とヤマメらしいアタリすらなく、コバがハヤ1尾、小生がハヤ3尾、パパはアタリすらなかった。

下流に入った2人も相棒がテンカラ(毛バリ釣り)で20cm級のヤマメを1尾釣ったものの結局、獲物はその1尾だけ。そこで協議の結果、一気に上流に移動した。

今度も小生と“新人”2人がセットで入渓、相棒と丸ちゃんは、我々よりも下流に入った。ところが、その場所も3人揃って討ち死に。仕方なく車で移動、相棒と丸ちゃんの更に下流に入ることにした。

 

その場所は、実に雰囲気がよく、ポイントも豊富で期待が高まった。しかし、既に午前9時を回り、薄曇りの天候ではあったが、朝の地合いは完全に逃してしまった時間帯。それでも小生がトロ瀬で20cmに少し欠けるヤマメを釣り上げたが、獲物は3人でその1尾だけ。午前10時に相棒と丸ちゃんと合流、2人の獲物と合わせてヤマメ4尾とイワナ5尾。

「これだけあれば念願の天丼が出来るぞ」と小生。昨年は、定宿「新五郎湯」の厨房を借りてヤマメとイワナの唐揚げを満喫したが、その際、「これを天ぷらにして天丼を作ったら美味いだろうな」と相棒が言い出した。今回は、それを実践すべく2台のガスコンロ、フライパンに油(昨年は油を入手するのに苦労した)、温めるだけで美味しいご飯、汁の素(天汁、そば汁に使用可能)などを持参していた。

役内川と薄久内川合流点付近で念願の天丼パーティーを開催した。ヤマメが4尾しかないので、ヤマメもイワナも3枚に下ろし、2枚の身を2等分して8枚にし、イワナも同様の処理をして天ぷらを揚げた。揚げたてを汁の素に潜らし、別の鍋で温めたご飯に載せて完成。相棒が釣りの途中で取ってきた開いてしまったタラの芽(タラの葉?)も天ぷらにして添えた。

「うーうまいっ!」、「絶品!!」、「東京なら黙って1500円は取れるぞ」。一口頬張った途端、全員から歓喜の声。小生も慌ててかっ込む。「美味いなんてもんじゃない」。自分で揚げた天ぷらながら、思わず叫んでしまった。

 

2日目、「新五郎湯」で作ってもらったおにぎりを手に午前5時に出発。前日の好渓が忘れられず、小生はコバとヤマメ1尾を釣ったポイントに入った。コバをトロ瀬に残し、小生は少し下流の瀬脇に立ち込み入念に餌を流したが、思ったようなアタリは来ない。

30分程してやっと目印を小さく引き込むアタリで20cm足らずのイワナが1尾釣れて来ただけ。コバが気になって上流に帰ると、15cm級の小型ながらイワナを1尾釣っていた。本来なら放流するサイズだが、記念すべき1尾目である。ビクに納めてしまったのも仕方あるまい。結局、我々はその2尾だけだったが、相棒に付いて更に上流に入ったパパは快挙を達成。何とそれまでの中で最大の25cm級のヤマメを釣り、22、23cm級を手元でバラしたと言う。さらに20cm級のイワナも1尾釣り、顔が輝いていた。

この日は、天丼ではなく、地元の名物・稲庭うどん(地元で購入、前日と同じ場所で茹でた)にヤマメとイワナの唐揚げに舌鼓を打った。

 

そして最終日の朝。この日も5時に出発。「新五郎湯」の下流に分散して入渓した。小生は、コバと2人でパパが入った1km程下流に入渓した。ところが、杉林と潅木の斜面をヒーヒー言いながら下り、いざ竿を出そうとした時、首から下がっていなければならないビクがないことに気付いた。ビクがないと言う事は、餌もないと言う事である。コバのポケットに入っていたブドウ虫が唯一の餌となった。このブドウ虫、前日からコバのチョッキのポケットに入っていたせいか元気のない事夥しい。ほとんど動いているものがなく、ハリに付けると萎んでしまう有様。これではまともに釣れるわけがない。

しかもこの釣り場、何度も山側を巻く形で登ったり、下りたりの繰り返し。何度目かの登りで2人とも気力が失せて、そのまま道まで上がってしまった。息を整えるまで10数分。何とか歩いてパパとの合流地点まで戻った。パパはこの日も23cm級のイワナを1尾釣って“若葉マーク”は完全に取れたようだ。

午前9時、相棒と丸ちゃんと合流。「ビクを忘れて入渓するとはね…」、散々嫌味を言われた後に、相棒が取り出した獲物を見てビックリ。何と29cmの大型ヤマメ。尺に1cm足らず、俗に“泣き尺”と呼ばれるサイズだが、ここに通い始めて5年目、これまで最大のヤマメだった。

結局、5人のトータル釣果は、ヤマメ10数尾にイワナ10数尾。小生の不甲斐ない成績も足を引っ張り、思うような成果は上げられなかったが、念願のヤマメ・イワナ天丼も食べられ、実に楽しい釣行だった。新参のお二人さんも「来年も参加したい」との申し出、来年はO氏も復帰して6人での釣行となりそうだ。

役内川の地図

 

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