釣行報告

NO.12 茨城県・黒須新堀のマブナ釣り

 

田植えが終わったばかりの田んぼの真ん中を高架橋が走っている。JR鹿島線の線路である。少々興醒めの景色なのだが、ガタンゴトンと電車の走る様は、それほど違和感がないのが不思議だ。さらにその田んぼのど真ん中に駅がある、十二橋駅である。しかし、駅があるからといって周囲に何かがあるかと言えば、全く何もない。電車が停まらなければ、そこが駅であることさえ分からないはずだ。

この十二橋駅から、歩いて10分程の所を流れているのが黒須新堀である。春と言わず、秋と言わず度々訪れている釣り場だが、裏切られたことがない。つまり、オデコになったことがないのである。この日も最初は金江津水路に言ったが、水は満々とあったのだが、どうしたわけかアタリすらなかった。そこで、黒須新堀にに移動してきた。相棒と2人で『竿治』師匠の和竿をおろした前回、不調に終わってしまったが、今回はなんとしてもその感触を味わいたかった。

午前8時過ぎに到着。すでに7、8人の釣り人が点々と竿を出していた。全員が年配者だったが、近頃では、1ヵ所の釣り場でこれだけの数の釣り人に出会うのは珍しい。

 

早速、高架線のすぐ下あたりから竿を出した。シモリウキが静かに沈み、水深は40〜50cmといったところ。この時期としては十分である。しばらくすると、ボソ(小魚)のアタリが出始め、小さく誘ってやると、ツツーとシモリウキが消しこまれた。軽く竿を立てると、重量感ある引き込みで竿全体が大きく曲がった。カーボンロッドならば、そのまま抜き上げてしまうのだが、おろしたてホヤホヤ、漆も十分乾いていない和竿でそんな強引なことは出来ない。相棒に声を掛け玉網を出してもらった。取り込んだのは、25cm程のヘラブナ、重たいわけである。

 

 

水深の浅い所で良型のヘラブナが暴れてしまったためか、アタリがなくなった。そこで、少し移動。辺地寄りを丹念に探っていくと、しばらくして小さなアタリ。やはり軽く竿を立てると、今度は小気味よい手応えで15cm級のマブナが釣れて来た。和竿の感触は最高である。少し離れたところで竿を出していた相棒にも同型のマブナが釣れ、思わずニッコリ。

 

この日は、まさに雲ひとつない(雲量ゼロというやつである)晴天、朝方は少しひんやりする陽気だったが、この頃は丁度良い気温に落ち着き、気分は爽快そのもの。その後も飽きない程度にアタリが続き、正味2時間程で10数尾ずつのマブナ(10〜16cm)を釣って納竿した。漆が十分に乾き切っていないため、銘竿には少々癖がついてしまったが、乾燥するにしたがってそんなこともなくなるはず。実に“いい感触”でマブナ釣りを堪能した。

「そろそろ手長が釣れる時期だね」。帰りの車の中で次回は手長エビ釣りに出掛ける約束をしながら帰路に就いた。

 

【ガイド】

JR鹿島線・十二橋駅下車、徒歩5〜10分。マイカーは、東関東自動車道・大栄ICで下り、国道51号線佐原方面へ進む。利根川に架かる水郷大橋を渡り最初の信号を右折して県道101号線に入り、横利根川の水門を越して1つ目の信号を左折。与田浦橋を渡り約150メートル先の路地を右折すると700メートルほどで黒須新堀。

 

黒須新堀の地図

 

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