競馬雑記帖

NO.14  あまりに高い釣り道具!

文部科学省の“レジャー白書”によれば我が国の釣り人口は2000万人を超えているそうだが、これは少々眉唾。この数字の中には1年に1度でも釣りをした人も含まれており、その実数は凡そ半数(業界内では900万人前後=ゴルフ人口とほぼ同じ=というのが、常識的な数字になっている)と考えればいいだろう。

それにしても凄い数である。関東圏と言われる静岡県東部から茨城北部までの沿岸沿いには、ざっと1500軒の船宿があるが、その船宿が食えていることからも、その数の凄さが分かるだろう。小生の知る限り、こんな国は他にない。

その意味でも釣りは、我が国の国民的なレジャーと言っても過言ではないだろう。しかし、その釣り業界は、ここ数年不況のどん底をさ迷っている。釣り雑誌はどんどん潰れ、船宿の中にも廃業する所が出て来た。さらに釣り道具の売上げの落ち込みは目を覆いたくなる程で、業界全体の売上げは、ここ数年3分の2(2002年度の総売上は2000億円を割った)になってしまった。

不況そのものは、何も釣り業界に限ったことではなく、極一部を除けば、どこもかしこも不景気なのだが、釣り業界の落ち込みは群を抜いている。原因はあまりに多く、特定することは難しいが、「釣り道具が高過ぎる」というのも大きな要因に思えてならない。今では、ちょっとした竿やリールは、全てウン万円、それも5万円を超えるものも全く珍しくはなく、リールに巻くラインや仕掛けを作る糸や小物の類も全てが高い。勿論、メーカーサイドにも言い分はあるだろう。しかし、結果として釣りをする人間が少なくなってしまえば、文字通り元も子もなくなるのだ。

一口に釣りと言っても、実に多彩だ。小生は、親子で近所を流れる川や近くの海での魚釣り。あるいは何処かに出掛けたついでに竿を持参して手軽に楽しむ−というのも立派な釣りだと思っている。それが高じてやがて釣り船に乗ったり、地方や外国まで遠征する釣り人が生まれてくるのもだと考えている。

釣り道具の値段がこれだけ高くなれば、その“入口”の部分でほとんどの人が挫折してしまうだろう。勿論、“素人”が使う安い道具が全くないわけではないが、メーカーも釣り道具店の人々もそうした道具を売ることに、全くもって熱心ではない。ウン万円の道具を買ってもらうには、それなりのプロセスが必要であり、戦略もいる。

“釣り人の卵”を門前払いしてしまうような現在の釣り具業界の“体質”を改めることこそ急務と思うがどうだろう。

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