競馬雑記帖

NO.12  太公望ってだれ!

釣り人の代名詞としてよく使われる“太公望”。この太公望、最近の若い人達は、彼が人であることも知らない。「太公望って何?」。よくそう言われる。偉そうなことを言っても、小生とてきちんと知っているわけではないが、浅学の範囲で知っていることを披露しておこう。

 

まず、その名前からして中国の人間であることは容易に察しがつくと思うが、それではいつの頃の時代の人間かというと、周時代、つまり紀元前800年頃になる。逸話として残るのは、周の文王が猟に出掛けたおり、川のほとりで釣りをしていた呂尚(りょしょう)という男に出遭う。この男と意気投合した文王は、「先君・大公の頃から『間もなく聖人が現れ周を隆盛に導くであろう』との言い伝えがありますが、貴方こそその人に間違いありません。貴方のお出でを太公は待ち望んでいたのです」と“太公望”と号し、軍師として周に迎えたというもの。この逸話を元に後世、釣り人を太公望と称するようになったとか。

 

しかし、その呂尚という男、太公望と呼ばれるようになる以前については、生年月日、出身地、父母の名前など、なにひとつ分かっていない。文王の軍師になってからは、目覚しい働きをしたらしく、次代の武王の時には、“師尚父”と尊称されたそうだが、実に謎の多い人物なのである。

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