競馬雑記帖

NO.49  古馬戦で重要なのは、世代比較

ミスターシービーと言う馬を覚えているだろうか。そう、日本競馬史上3頭目の3冠馬(牡馬=1983年)である。さらにその翌年、日本競馬史上最強とも言われたシンボリルドルフが現れ、2年続いての3冠馬となった。

その後、両馬は3度対戦したが、ミスターシービーは、1度もシンボリルドルフに勝てず、脚部故障で引退した。ミスターシービーが、1年遅く生まれるか、逆にシンボリルドルフが1年早く生まれていれば、ミスターシービーは、3冠馬にはなれなかった−当時、競馬ファンの間でそう囁かれたものだ。

 

クラシックレースが、同世代で争われる競走である以上、所詮無意味な比較なのだが、「今年の3歳(以前は4歳)は、強い」、逆に「−弱い」と言った話題は毎年持ち上がる。昨年、8歳(以前の表記なら9歳馬)にして天皇賞(秋)、マイルチャンピオンCの2つのGIを連勝して引退したカンパニーのような馬も時には現れるが、通常は、サラブレッドは4歳の秋(以前の表記では5歳秋)、最も充実すると言われる。したがって、前年のクラシック戦線で活躍した馬が無事に古馬(4歳以上)となり、出走してくれば“最強”のはず。しかし、ミスターシービー、シンボリルドルフの例もあるように、常に世代間の強弱については気を配らなければならいのが競馬の世界である。

 

それでは、今年は一体どうなのであろうか。まだ“正月競馬”の1開催すら終了していない現段階で結論を出すのは早計だが、小生の感触では、一昨々年(ダイワスカーレット、ウオッカ世代)以上に「強い世代」といった気がしている。とくにブエナビスタを頂点とする牝馬の強さは圧倒的で、今年の古馬GI戦線の“主役”を務めることは間違いないと確信している。逆に一昨年世代(今年の5歳馬)のレベルには大いに問題があり、晩成型の出現でもない限りは、相当苦戦しそうだ。

 

古馬戦線を楽しむ上で、こうした世代間レベルを頭に入れて推理することにより、思わぬ穴馬を発見することがあることを覚えておこう。

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