2004年12月31日

Mr.インクレティブルを見た。

理屈抜きに面白い作品です。音楽も秀逸。私は「字幕」版で観たけれど、吹き替え版も三浦友和・黒木瞳さんの好演で評判がいいそうです。
メイドインアメリカのCGアニメという分野は、この作品で確立したのではないでしょうか。
フィクションとリアルとの中間世界を見事に表現してる。
CG作品に大切なのは、映像のリアルさだけではなく、むしろリアルに感じさせる「ストーリー」が大切なのだという。
ともすれば、現実に近い映像が脚光を浴びがちだが、むしろ映像は「ありえなく」とも、ストーリーにリアリティがあれば、観客は描かれている世界を何の違和感もなく楽しめるいうお手本のような作品だと思った。

日本のアニメーションの世界は一兆円産業だが、現場で働いている人たちにはいまひとつ実感がないそうだ。
映像、アテレコに携わる人たちの労働条件はかなり厳しいと聞くし、今では、中国などの海外外注も進み製作現場が空洞化している。

世界的に注目されている「ジャパニメーション」だけれど、今後についてはかなり心もとない。
良質の作品を産みだしているのは、宮崎駿氏や押井守氏といった大ベテラン。
才能を開花させる「次の世代」が登場できる環境がいま日本にあるのかと少々気になるところ。

アニメーション=「おたく」というイメージがあるなかで、それを吹き飛ばすくらいに痛快でおもしろい作品が日本から生まれるといいなと思う。そして「他と違う世界」を描き出せる総合芸術が、日本を代表する輸出産業として拡がっていったらいいのになぁとも思うのです。