2004年06月29日

感性の理解者


 今は遠い町に住む先輩から一冊の本が贈られてきた。
 鳥居祐示さんの「えび天うどん三百六十円」という詩画集(四谷ラウンド)。
 鳥居さんは定まった居を構えず、家族を捨てて全国を点々とする中で、路上で絵を描き、それを売って生きている方。著書には、その瞬間に感じ、描いた絵や、浮かんだ言葉であふれている。

 先輩は、書店の中でこの本を見つけ、私がかつて描いていた「絵手紙」に雰囲気が似ているからと、私のことを思い出してわざわざ本を購入し、送ってくれた。
 確かに、私の描いていた絵にタッチは似ています。そして何より大好きな絵ばかりです。
 でも、むしろ、今の私は、その中の言葉に救われるような気がするのです。

 「大切なことはじょうずかどうかじゃなくて誠実かどうかなんだ」

 そしてこんな詩画に、肩の力が抜けました。

 まぁるくなって安らかな表情の猫に──
 「いちもくおかれなくなりホッとひと息」

 絵の横に著者はこう記しています──実力以上に一目置かれてしまうとプレッシャーとなりつぶされてしまいます。実力の7割くらいがいいんじゃないでしょうか。
 ちょうどよく期待してほしいものです。──

 こんなにわかってくれる人がいて、つくづく私は幸せだと思うのです。