2003年02月01日

普通の感覚

 金曜の夜は、作家の佐木隆三さんと御一緒させていただく。

 佐賀・長崎連続保険金殺人事件の裁判をずっと取材されてきた方。
 変な話、テレビで良く見ていたが、一緒の宴席に出させていただくのは初めて。
 裁判を「法律」という視点ではなく、「人間」という視点からご覧になっている。こう言っては大変生意気だが、ごく普通に「怒り」「悲しみ」「笑う」感覚をお持ちの方。

 私もこういう仕事に関わっていて、大事にしているのが「普通の感覚」。
 あの事件では、被告の普通の感覚が欠落、変化して子殺しという常軌を逸した事件につながってしまった。

 人というのは、その変化のスピードに早い、遅いはあっても、最終的には「異常」に適応できるものだと思う。
 「異常」の状態の中にいる時、いざとなったら、「正常」に戻せると思っていても、実は後戻りできないことは多い。

 遠洋で、とても大きな渦の中にいたとする。コンパスもなく、太陽や海岸線も見えないと、きっと船の上では、きっと渦中にいることは気づかない。
 時折、飛行機から、海の上の小舟を俯瞰することはとても大事だと改めて思う。