前号の渡辺さんのエッセイを読んで、19期生の阪本さんが、感想のメールを送ってくれました。
阪本さんは、現在、ドイツ滞在中です。遠くヨーロッパから、大変示唆的な文章を送って下さいました。みなさんも、ぜひご意見やお便りを気軽にお寄せ下さい。宛先は、1面右上の事務局宛までです。どうかよろしくお願いいたします。(会長 5期 太原)
いつもOB-NEWSを楽しく読ませていただいております。今回、特に渡辺さんの記事に思うところがあり、勝手に書かせていただきます。
私の職業は小学校教員で、仕事を始めて初めての異動が、なんと現在のフレーベル館のある本駒込。そこで仕事をしているある日、フレーベル館が転居してきたとのこと。その年の定期演奏会に行って、あまりにも子どもが少ないので驚いてしまった。これはまずいと、フレーベル館に電話を入れたのである。「合唱団担当の人と話をしたいと」すると渡辺さんが電話に出てきたのだ。本当に驚いたと共に、とてもうれしくなった。今の私を育ててくれた合唱団に何らかの形として返すときが来たと。私は校長に話をした。フレーベル合唱団は営利目的の団体ではない。子どもたちの健全育成に役立っているものだと。本校の担任に話をして、望める保護者に話をして欲しいと。私の力がどのように活かされたか分からない。しかし、私が今も合唱団を愛しているのは間違いがない。
その後、私が教えている子どもたちが合唱団に通いだした。職務上知り得ることだが、何一つやりとげられない我が子だが、合唱団だけには通うという親御さんからの話を聞く。また、磯部先生の葬儀の時に、私が教えている子と一緒に歌えたのがうれしかった。ここでは、先生と子どもの関係ではない。同じ合唱団に通う、そして通った人間関係以外にない。
今現在、籍は文京区立昭和小学校にある。しかし、現在の職場はベルリン日本人国際学校である。そのように、教育に携わる身として、そしてドイツ文化に関わる身として先の渡辺さんのエッセイに対して自分なりの考えを述べさせていただく。
渡辺さんの記事を読んで、ショッキングだったと同時に落胆をした。やはり合唱団の中でもそうであったかと。日頃、私の仕事柄、このような保護者の対応はよくあるものである。自分の子どもだけが大事で、子どもが非難されることを極端に嫌がる。それが本当に子どものためになるのであろうかと。自分の子どもがやったかどうかなんて関係がない。ダメなものはダメとなぜ言えないのであろうか? やはり大人がよろしくない。
私はドイツに来て、今まで聴いたこともないクラシックやオペラを聴く機会が増えた。こちらではかつてカラヤンが率いたベルリンフィルハーモニーを聴くことができる。まずここには子どもは来ない。子供をベビーシッターに預けて大人が来るのが基本である。指揮者が指揮棒を揚げたら、その後は一切の音は禁物である。咳払いだって禁物。渡辺さんが書いたようにプログラムを開く音さえ禁物。楽章の間に咳払いをしたり、プログラムをそっとのぞくのが限界である。かつて携帯が鳴ったことがあったが、会場から大顰蹙(ひんしゅく)である。私は日本でクラシックコンサートに行ったことがないので、日本の常識は知らない。少なくとも、ベルリンでの常識は上記の通りである。
また、オペラやバレエを観に行くこともある。ここでは子どもを見かけることができる。女の子はワンピース、男の子もきちっとした服装でやって来る。こちらの開演は20時が通常であるので、子どもたちが寝てしまうこともある。しかし、このように小さいうちからオペラやバレエ、コンサートにはこのような服装で来る(服装だけではなくマナー)と親が教えているのであろう。開演前や休憩時は、アルコール類を飲むことが多い。子どももそれに準じた飲食をする。当然、会場内での飲食は御法度である。日本ではアルコールはよくないと考えるであろう。そんなことは全く関係がない。ドイツのコンサートでアルコールを飲む人はたくさんいても、酔っぱらいはいない。アルコールより大切なのは、コンサートを聴くマナーである。
先日、フィルハーモニーに行ったら、このようなことがあった。私のそばにいた中学生くらいの子どもがコンサート中にこそこそ話をしていた。隣にいたドイツ人が注意をした。またしばらくするとまた話しだした。すると、先ほど注意をしたドイツ人が子どもたちの膝をたたき、叱っているのである。あかの他人を。言葉の内容も聞こえないほどの小さな声であったのだが、お金を払って音楽を聴きに来ている人にとって、邪魔をされるのは許せないのである。日本ではとかく自分の子さえよければと言われるが、ドイツでは周囲に許されない。ここドイツで生活していて、ドイツのイヤな面をみることもたくさんある。日本が本当に素晴らしい国であると思うこともたくさんある。しかし、このような文化面やマナーに関しては確実に日本は後進国である。
今、我が子も小学生になり、私は問題の多い保護者の一員になってしまった。それと同時に、私の商売柄、自分にも責任があると痛感している。どうにかしなくてはならない。
勝手なことを書いてしまったことをお詫びをします。私の考えに対する意見や批判があったら、ぜひぜひお知らせください。