バカンスは危険がいっぱい:5



弥勒と犬夜叉が娘たちの姿を探しながら歩いていたときに
ふと気になる会話が飛び込んできた。



「あの女の子達大丈夫だろうか・・・?」
「あいつらまたなんか悪さするつもりなんじゃねぇの?ど・・・どうする?」
気の弱そうな二人の男は尚も続けた。
「・・・・どうするって・・・・かかわったら俺たちまで痛い目にあうんだ。何も出来やしないよ。」
「・・・・・・・・うん
・・・・でもあいつを投げ飛ばした女の子、このままじゃただですまないだろうし・・・」



そこまで聞いた弥勒は思わずその男の胸倉を掴んでいた。





「それはどこでだっっ?!!」





その恐ろしいほどの弥勒の形相にびびりまくりながらも
珊瑚とかごめにちがいないであろう女の連れと
その二人を囲むようにしていた男たちのことを彼らは教えてくれた。

礼もそこそこに弥勒と犬夜叉は目指す場所に向かって駆け出した。



珊瑚に間違いない・・・・・・・!
くそっ!・・・・・間に合ってくれ・・・・・・!!



珊瑚の無事を祈りながらたどりついたそこで見たものは
まさに平手打ちを受けて倒れこむ愛しい娘の姿であった。





「珊瑚っっ!!!」





全身の血が逆流する。
弥勒の体の中を怒りの炎が駆け巡る。



あいつだけは・・・・許せねぇ!!!



珊瑚を殴った昼間の男を睨みつけた。







「かごめに手ぇ出すんじゃねぇーーーーーーーーーっ!!」
かごめを連れ去られて頭に血が上った犬夜叉は男たちをものともせずかけ寄り、
一人力任せにぶん殴るとかごめを自分の元に引き寄せる。

その犬夜叉の勢いに一瞬男たちは驚きながらも
二人の乱入者を眺めながら余裕の姿勢を崩さなかった。
どうみても優男の二人連れ。
腕が立つようには見えず、この場慣れした自分たちにたった二人ではむかうとは
無謀もいいとこだ・・・。



「ピンチを救うヒーローにでもなったつもりか?
やめといたほうが身のためだぜぇ・・・・?女はおいてさっさといきな!」



その言葉を聞きながら弥勒は静かに言い放つ。







「・・・・・・・・・・試してみるか・・・・・・?」







言い終わると同時に弥勒の両側から男たちが掴みかかってきた。
右手の男をひょい、とかわすと、左手の男の腕をぐっと掴み上げそのまま後方に投げ飛ばした。



珊瑚は自分の立場も忘れて、その弥勒の見事なまでの華麗に円運動を描く腕の流れに
思わず見とれてしまう。
そしてその弥勒の後方に太い棒を振り下ろそうとしている男の姿が目に止まった。
とっさに珊瑚は飛び出すと男の体に体当たりを食らわした。



「ぐぇっ!」
男ともつれながら倒れこんだ珊瑚に矛先をかえた棒が振り下ろされる・・・!


だめ・・・・!殴られる・・・・?!
不覚にも一瞬目を閉じてしまった珊瑚は自分に起きる衝撃に身を固くした。





バキィッッ!!!





そこには珊瑚の頭を抱え込み、左腕のガードで棒を受け止めている弥勒がいた。



「・・・・・・一度ならず二度までも・・・・・珊瑚を殴ろうとしやがったな・・・!」
珊瑚をそっと離すと、ゆらりと立ち上がる。
その瞳には凄まじい怒りの色をたたえていて。


「・・・・・・しらねぇぞ・・・・どうなっても・・・・・」
同じく怒りを覚えていたはずの犬夜叉がそれを見て肩をすくめた。


「てめぇ・・・合気道かなんかやるようだな?しかし所詮合気など実戦では役にたたねぇ!
それも俺みたいな空手の経験者にはなっ!!」
いいながら男の蹴りが弥勒に向かって放たれた。
その蹴りを余裕の構えで受け流す弥勒。



「・・・・あいにくだな?お前ごときに合気のような高尚な技はつかわねぇ・・・・・」

構えなおしてにやりと笑う。







「蹴りっていうもんは・・・・・・・・・こうやるんだ!!」







その瞬間弥勒の右足がものすごい速さで回転したかと思うと
すでに男の首筋に見事なハイキックが叩き込まれていた。
男はカエルがつぶれたような悲鳴をあげ、数メートル飛んでいく。

見事に男は泡をふきながら気絶していた。



「相手の強さを計れないと命取りだぜ・・・・・?」



のびている男を一瞥すると珊瑚のそばに駆け寄った。

残りの男たちは犬夜叉がすべて片付けていたようで、すでに戦況は終りを告げており
あたりは静まり返っている。





「・・・・・・・珊瑚・・・・・・たてるか?」





優しく手を差し伸べる弥勒に思わず涙が出そうになるのをこらえながら
珊瑚は気丈に笑って見せた。

「あたしは・・・・大丈夫だよ・・・・かごめちゃんは?」
「珊瑚ちゃんっっ!!ごめんね・・・・ごめんね・・・・・・!」
自分にすがって泣きじゃくる親友を優しく抱きめてやる。
「・・・・・・かごめちゃんのせいじゃないから。ね?」



そんなやりとりを黙って見つめていた弥勒だったが
「・・・・・そろそろ退散したほうがよさそうですね。
ほら?パトカーのサイレンの音が近づいているようで・・・・・」

さすがにあれだけの騒ぎだ、誰かが通報したのであろう。
確かに遠くからサイレンの音が近づいてきていた。



「げげっ?!めんどくせぇのはこりごりだぜっ!」
「何かと聞かれてはうっとうしいですから・・・行きますよ!」





4人はこっそりとペンションへの帰路についたのだった。



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