殻を破る

「できるだろ? 今日はアンタが動けよ」
「さ……坂口先生……」
「その呼び方もすっきりしねぇな。『安吾くん』じゃねぇのか、おい」

 坂口が笑うと、司書は恥辱からか身体をぶるっと震わせた。
 ベッドに仰向けになった己の胴を司書に跨がせ、びきびきに硬くなった肉竿を秘唇に触れさせたりさせなかったりする。

「こいつを自分で咥え込んで、それから俺をよくするために腰を振るんだよ。男をよがらせるのはアンタの得意技じゃねぇか」
「いや……私、得意なんかじゃ……」

 太宰を楽しげにいじめているときの彼女など見る影もない。
 この女は男にイニシアチブを握られるのが苦手、否、はっきり言って嫌いなようだった。
 司書が坂口と太宰、ふたりの情婦――ようするにカキタレ――になってから数ヶ月。肌を重ねるたび、彼女のそんな性質が浮き彫りになる。
 男慣れしている。身体だってすっかりこなれている。
 が、その「慣れ」はだいぶシチュエーションが限定された。司書は一方的に男を手玉に取って弄ぶのが大得意な反面、自らを突かれるとその快感に戸惑う。
 ときには反射で出るものとは違った涙を流しながら、「もう許して」と懇願する。これ以上私をおかしくしないで。女の悦びを与えないで。私を「揺らす」のはよして、と坂口に向かって悲鳴のように喘ぐのだ。
 ――ならこいつを物理的に上にならせてみたらどうか、と考えて騎乗位の体勢を取らせた坂口は鬼か悪魔だ。

「アンタが上なら文句ねぇだろ。いつも太宰にしてる手コキだの足コキだのをその穴でやればいい。この偉大なる落伍者の竿を、アンタのお道具でマンコキしてやってくれよ」
「ううぅううぅっ……坂口先生、どこでそんな言葉を覚えてくるの……!」
「まぁいろいろとな。時代遅れにはなりたくねぇんだ」

 坂口は笑いつつ司書の太ももを平手で叩いた。肉づきのよいそこは、ペチンッ……と音を立てる。

「やれ」
「く……ふ、先生なんて嫌いよっ……」

 司書の憎まれ口に嬉しくなる。この女が素直に感情を伝え始めたのはいいことだ。未熟なまま、いびつな形で大人になった女の中身が、「男」を相手にしっかりと育ってきている手応えがある。

「んっふ、はぁ……あぁっ……♥」
「おっ……♥」

 亀頭にぬとっとした感触が当たって、坂口は思わずにやけた。司書が腰を上げ、彼の根元を掴んで膣口に押しつけた。

「そのままだ。しっかり腰を落とせよ」
「ふくぅっ……そういうの指示厨って言うのよっ、いまどきっ……嫌われるんだから」
「知らねぇなぁ♥ 命令されなきゃやれねぇ奴に言いつけてなにが悪い」
「くうぅうっ……悪い子……」
「その調子だ。俺を太宰にするみたいに弄べばいい。安吾くんったら♥ って言いながら腰を振ってくれりゃあいいんだ」

 煽りに煽られ、このままでは言葉で辱められるだけだと思ったのか、司書は腹を決めたらしい。

「あっ……は、はぁっ、はあぁあぁっ……!」

 ずっぶうぅうううぅうううぅうぅっ……!!

「おほォ……♥ おぉ、そうだ、そうだ……根元まで埋め込め……♥」
「うぅうぅんっ……ぶ、ぶっといちんぽ……はぁ、は、入るうぅうぅんっ……♥」

 坂口の太い肉胴が、女壷にずぶずぶと埋まっていく。
 たまらず快感の声を上げ、そしてそれ以上に大きな声で喘ぐ司書のことを愉快な気持ちで眺めた。

「とんでもねぇ顔してんぞママ♥ 太宰に見られたら一生母親なんて読んでもらえねぇスケベ面しやがって♥」
「いやあぁあっ……お、おさむちゃんのことは言わないでっ……んっ……ふぅっ、ふっ、ふうぅうぅっ……♥」
「おぉ、おぉ、イイ感じだ……はぁっ……!」

 ぬぢゃっ……にちゅっ……ねぢゅっ……♥

「あぁああぁっ……あっ、いやぁ、いや、だめ、あぁぅうぅ、私が動いてるのに……体重で、ずぶずぶ入っていって……へ、変なのぉ……♥ うくぅっ、勝手に、勝手に奥まで届いちゃううぅっ♥」

 粘つく汁音を響かせながら、司書が腰を揺する。そのたび坂口のペニスの表面を、膣穴のざらつきがぞろぞろと撫でた。

「だ、ダメえぇ……せ、先生、やめ……先生が上になっていいから……」
「あん? なに甘えたこと言ってやがんだクソママ」
「あひっ!?」

 ぐりぃいぃいいぃっ……♥

「ひぃおぉおおぉおぉんッ♥ おっおぉんッ♥ くっ、クリ、つねっちゃ……いやっあぁああっあぁああぁあぁんっ♥」

 坂口はもうこの女に容赦をしないと決めていた。司書が動きを止めてへばりそうになった瞬間、彼女の感じやすい肉粒を親指と人差し指でつまんだ。

「俺は言ったよな? アンタのお道具で俺をマンコキしろってよ♥ やり方がわからねぇか?」
「ち、ちがっ、あっ、あっ、あぁああぁっ♥」
「なら教えてやるよ。アンタの恥ずかしいサネをしごいてやるから、それと同じようにすりゃあいい」
「ち、違う、いや、だめ、そんなの、全然教われないいぃいっ♥ いやっ、いやっ、あっ、あ゛あぁああっっ♥」

 くちゅっ……くちゅっ……くちゅっ、くちゅぐちゅぐちゅううぅうぅっ……♥

「んひぉおぉおぉっ♥ や、やめへぇえっ♥ クリ、そんなぐりぐりらめええぇえっ♥ やめぇ、あっ、あっあぁああぁあぁんっ♥」
「ほぉらいっちに、いっちに、俺の指と一緒に腰を振るんだよ」

 当然、ペニスで子宮口まで串刺しにされる圧迫感と、クリトリスへの刺激に打ちのめされる司書が、坂口の言うとおりにできるはずもない。

「ふッ、くっ、ふぅ゛うぅうぅうううぅ~~~っ……ふーっ、ふっ、ふぐうぅうぅうぅう……っ♥ お、おぉおおお゛うぅうぅっ……♥」
「なんて汚ねぇ声上げてやがんだ。太宰が知ったら泣くぞ」
「いやぁ゛あぁあっ♥ お、おさむちゃんのことは……あ゛あぐぅううぅうんッ♥」
「アンタが俺をイかせられるまでずっとサネをシコッてやるからな。何回絶頂しようが、すり切れようがやめねぇぞ♥」
「う゛く~~~っ……くぅ、ひどいっ……う、うぅ゛ううぅううぅっ……♥」

 彼の言葉に本気を感じ取ったのか、司書はガクガク震える手と足首にどうにか力をこめた。

「んっ、んくっ、んんんぅ~~~っ……」

 ぐちゅっ……ぐちゅっ、ぐちゅずぢゅっ……♥

「おぉ……やればできるじゃねぇか♥」

 たどたどしい律動を、また再開させだす。

「はぁっ、あっ、あっ、あくぅんっ♥ あっ、あっあぁあっあぁっ、あっ、あっ……♥」
「……っ♥」

 そして、さっきよりもずっとリズミカルに女体を振り立てた。しっかりと男に快感を与えるセックスの動きで、膣穴を使って肉竿を摩擦していく。
 このまま身を任せていれば射精まで向かえそうだが、ただそうしているだけではつまらない。

「なんだアンタ……今まで手ぇ抜いてやがったな?」
「!?」
「お仕置きだ。動き止めんなよ。ちゃんと腰振ったままクリズリされとけ♥」
「あ゛ぁあぁあいやっ♥ いやっいやっ♥ もういらない、クリ擦るのいらないっ……やめ、あっ、あ゛あぁああぁああぁあぁんっ♥♥♥」

 くちゅっ……くちゅっ、くちゅくちゅぐちゅうぅっ……♥

 クリトリスに愛液を塗りたくる。滑りのよくなったそこを指の腹で撫でつけ、どんどん充血させていく。

「おひっ♥ お゛おぉおおんっ♥ ひぃおぉっ♥ いやっ♥ いやぁあぁあぁんっ♥」
「んっの……動けなくなってやがんな? 仕方ねぇなぁ♥ 俺が動いてやるから無様にハメイキしろよ♥」

 ずっぢゅうぅうっ……ずぶッ、ぢゅぶっ、ぢゅぶぢゅぐぢゅうぅううぅうぅっ……♥

「んおぉ゛お~~~~っ……♥ お゛っおぉッお゛ひぁああぁあぁんっあぁんっあぁああぁあぁんっ♥ いやぁあぁああっ、クリズリ子宮グリグリいやぁあ゛ぁあぁああぁああぁあぁ~~~ッッッ……♥」
「まぁた汚ねぇ声が出てんだよ偽ママ♥ 今から部屋に太宰呼んでまた二輪差しするか♥ ほォッ♥」
「いや~~~っ♥ おさむちゃんを巻き込むのはやめてぇっ、こ、こんな声ぇ、お、おさむちゃんには聞かせられないのぉおぉっ♥」
「言いつけも守れねぇ、ひとりじゃ俺もイかせらんねぇ、ついでに下品な声で喘いでメスチンポビクつかせてるこっ恥ずかしい女の顔をよ、太宰に見せてやるんだよっ♥ なぁっ♥」

 ずっぶうぅううぅううぅうぅっ……!!

「いや~~~~っ♥ 嫌すぎてイくっ♥ あぁ嫌ぁあぁあっ、坂口先生が嫌いすぎてイぃいぃぐぅ、お゛っ、おお゛おぉほぉおおぉおおぉ~~~っっっ♥♥♥」

 司書の身体がビクッ、ビクッ、ビクッ……と激しく震え上がった。
 その膣穴のわななきを得て坂口もたまらない気持ちになって、絶頂する司書の太ももを押さえつけて何度も身体を下からぶつける。

「あぐ~~~っ♥ いっイッでるのにぃっ♥ あぁっ止まらない、せ、せんせ、やめでえぇえぇっ♥ あ゛ぁまらイぐうぅうぅっ♥ イッぢゃぅうぅううぅうぅうーーーーーーーっっっ♥」
「イきながら俺の精汁を子宮で飲めよ! 何度シメられても懲りない性悪女ッ……はぁ、あぁ出すぞ、あぁ、ああ……んお゛ぉ゛っ♥」

 びゅぶっ……びゅくっ……びゅるうぅううぅっ♥

「ひぃッあ゛ぁあっひぐうぅううぅうぅうーーーーーーーーーっ♥ あぐっあぁッあぁあぁあぁっ♥ 熱いぃっ、坂口先生の精液熱いぃいっ、あぁ嫌い、大嫌いなのにイくぅうぅうっ♥ う゛うぅうぅうぅううーーーっ♥」
「くぅおぉッ♥ お゛ぉおほっ……♥」

 この女の「嫌い」というさえずりを聞きながら射精するのは、何度経験してもたまらない。
 太宰に「おさむちゃん、だ~いすき」と言う口で「坂口先生大嫌い」。たまらなく興奮する。人間の二面性にじかに触れるようで最高だった。

「はあぁ゛っ……あ゛……あぁ、あぁ゛あぁあっ……♥」
「ハァ……ふぅ、ひとまず一発目……」
「う……くぅうぅ……♥」

 司書が力なく坂口の胸板に倒れ込む。その髪をそっと撫でながら、口角をつり上げる。

「……太宰を呼ぶか。部屋にいるかな」
「……! や、やめて! こんな顔見られたくないっ」
「もう何回も見られてるだろ。ったくアンタも太宰も、毎回律儀に動揺するから面白いよな」
「いや~! 大嫌い! 坂口先生大嫌いよっ!」
「あぁいい気持ちだなぁ。もっと嫌えよ♥ さて、太宰に電話をかけるからな」

 人間とは多面性あってこそだ。この女はそれを何度でも実感させてくれる。最高の情婦だった。