五輪書 剣豪、宮本武蔵が『五輪書』の「地の巻き」で、兵法の基本姿勢を展開している。その「地の巻き」冒頭で武蔵は「ふつう、武士の信念というと、ひたすら死を覚悟する程度に理解されている。だが、死を覚悟するという点では、武士ばかりでなく、出家にあっても、女性にあっても、百姓に至るまで、義理を知り、恥を思い、死を覚悟することではなんら変わりがないのである。武士が他のものと違うのは、兵法の心得があるということなのだ。・・」と説いている。 武士は常に死をもとより覚悟しているから偉いなどと威張ることではない。死を覚悟しているのは、武士だけじゃない。出家者でも、女でも、百姓に至るまで死を覚悟している。武士を名のるのなら、武士が他の人と違うところを認識し、よくよく修練を重ねて、その事を実践してゆかなければならない説いている。 武蔵は、ことにおいてものごとを深い洞察力でとらえること、言い替えれば、目先ばかりのことや、流派、体裁におもきを置く姿勢を諭している。時代がかわっても、武士に代わるような、しかるべき地位、立場を名のるなら、それに携わるものの変わらぬ基本姿勢と言える。 偉い立場の人ほど、人にものを教える立場の人ほど、平常時、日々自らをよくよく修練させておくことの大事さを説いているとも言える。武蔵の生きた時代も、いまの時代も、そのような立場の人ほど、このことを忘れている姿勢が横行していたのかもしれない。
(夢河童:
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