釣行報告

NO.65 幻の40pオーバー!?目撃!秋田県・役内川水系

毎年恒例の秋田・役内川釣行、現在のフルメンバーは、相棒のキヨシにその友人の丸ちゃん、小生とキヨシの共通の友人である剣道の達人、そして大先輩である大槻さんの5人なのだが、なかなかフルメンバーが揃わない。今回は大槻先輩と達人が仕事のため、不参加となり、キヨシ、丸ちゃん、小生の3人での秋田釣行となった。

 

「もう真夜中に走るのはよそう。お互い歳なんだから…」と言うキヨシの進言で、午前6時にキヨシの自宅がある江戸川区を出発した。丸ちゃんは、我々よりも大分若いが、小生もキヨシも間もなく還暦を迎える歳になった。お互い腰も患っており、年を追って無理が出来ない体になっている。何とも情けない限りである。

 

当然、行きは高速道路1000円を利用した。朝の出発だったので、渋滞を心配したが、東北高速は、思いの他快調に走れ、古川ICを午前11時前に出ることが出来た。鳴子から鬼首(おにこうべ)を抜け、通い慣れた山道を通って、役内川の上流部に正午過ぎに到着。

 

「この辺りには、入ったことがないので、宿に行く前にやってみようか」と言うキヨシの提案で入渓した。

ビックリするような極太ワラビが生える斜面を下り、杉林の中を抜けて渓に降りた。目の前の瀬尻に仕掛けを入れると、24cm級のヤマメが釣れ、思わず頬が緩んだ。

3人で同方向に向かうのは無理なので、小生は下流に、キヨシと丸ちゃんは、テンカラ竿を手に上流に向かった。この時点で暗黙の内に小1時間でここに集合−と考えた。小生もその時点ではそう思った。ところが、渓を下るに連れて好ポイントが次々に現れ、25cm級の良型ヤマメも釣れて、夢中になってしまった。3尾目(22cmのヤマメ)を釣った時点で時計を見ると、2時半を回っていた。

この時点で、キヨシと丸ちゃんが、小生を心配して大騒ぎしていたなどとは夢想だにしなかった。しかも、ここでふと頭を過ぎったのが、日本ダービーの発走時間が迫っていることだった。

 

そこで、入渓地点まで戻らず、途中で渓から上がってしまった。もう2時間以上経っていたので、キヨシと丸ちゃんは、当然、車に戻っているものと思ったが、車に着くと2人の姿はない。15分程待っていたが、一向に帰ってこない。その時、フロントガラスのワイパーに紙切れが挟まれているのを発見。「車で待ってて」とある。キヨシの字だが、小生に宛てたものか、丸ちゃんに宛てたものか分からない。丸ちゃんは、車の合鍵を持っていたが、小生は持っていなかった。このメモは丸ちゃん宛てと思い込んでしまった。時計は3時30分を指し、ダービーの発走は目前に迫っていた。携帯電話は完全に圏外、ワンセグも入らない。

 

少し下流に稲庭うどんを食べさせる店がある。メモの脇に「稲庭うどんの店にいます」と書き添えて店に向かった。TVがあることを期待したのは言うまでもない。しかし、店に着くと、「ここにはTVもラジオもありません。新聞だけです」と店員の女性。仕方なく稲庭うどんを注文して2人を待った。

間もなく血相を変えた2人が現れた。「ふざけんなよ。あの渓を2度も往復しちまった。もう脚がガクガク、具合悪〜」とキヨシ。「もう死んだと思っちゃったよ」と丸ちゃん。

3人の中でも一番飽きっぽい小生。行きがけの駄賃に入った渓で2時間以上も釣りをしているわけがない−きっと脳梗塞でも起こして流されたか、その辺の草むらで蹲っているに違いない−というのが、2人の統一見解で午後2時過ぎには大騒ぎになったようだ。

 

小欄をご覧頂いている方は、覚えておられると思うが、昨年、剣道の達人が“遭難”したと思い込み、救急車にパトカー、消防自動車まで駆けつける大騒ぎになった。2人は声を揃えて「2年続けて捜索願を出すところだったよ。あのメモが無かったら、間違いなく電話してたね。そうなったら、完全に出入り差し止め。2度とここには来られなくなるとこだったよ」。

我々の釣行は、全て割り勘が基本だが、稲庭うどんの代金を小生が持って勘弁してもらった。

 

定宿の『新五郎湯』で聞いたところでは、我々が到着する2日前まで大雨、大風の荒天で2週間程全く釣りにならず、1度も竿を出せずに引き揚げっていったグループもあったとのこと。ところが、我々は3日間とも快晴無風のこれ以上は望むべくも無い好天に恵まれた。

今回は、キヨシが燻製の道具を持ち込み、現地で天ぷらにしたヤマメ以外はヤマメもイワナも燻製にして持ち帰った。これがビックリするくらい上手く出来、味も上々だった。

 

最後に丸ちゃんが、過去にキヨシが発見したポイントで幻の40cm(当然、ヤマメ)を目撃した事を報告しておきたい。今回も彼は、テンカラとルアー釣りで通したが、2日目の最後の時間帯、3人でキヨシが過去に泣き尺(29cm)ヤマメを釣ったポイントに入った。そこで丸ちゃんが投げたルアーに「これまで見たこともない大きさ」(丸ちゃん)の魚が追って来て、ルアーの目前20cmで反転して行ってしまったのだ。

 

そこは水深2mを優に超える大トロ場が続くポイント。大槻先輩が最も得意にする釣り場だ。来年は、是非大槻先輩に参加してもらい、幻の40cmを仕留めてもらいたい。

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