釣行報告

NO.59 今シーズンもタナゴは大苦戦

晩秋、何だかんだと忙しくタナゴ釣りに行けないまま冬になってしまった。昨年、一昨年とあまりパッとせず、今シーズンはどうなのかと心配していたが、先週、やっと出掛けることが出来た。

友人の遠ちゃんを誘って、まずは“往年の好釣り場(茨城県・北浦の沿岸部に点在するホソ)”を探って歩いたが、既に蓮田では収穫が始まり、あちらこちらのホソが泥濁り。濁りを嫌うタナゴたち、こうしたホソでは釣れない。濁りの入っていないホソを見付けては仕掛けを入れてみたが、頻繁にアタリはあるものの全てクチボソ(タモロコ、モツゴ等)。

何ヵ所か回って東岸の爪木崎近くのホソで、この日初めてタナゴ狙いの釣り人に出会った。そこは、以前何度も相棒のキヨシとともに訪れた場所。その度にマタナゴ、オカメ(タイリクバラタナゴ)を釣った覚えがあり、「ここなら」と来てみた。

 

以前、釣れた記憶のあるポイントに仕掛けを入れたが、なかなかアタリが来ない。気が付くと老釣り師3人が竿を出している傍らに遠ちゃんが座って話を聞いていた。この男、爺ちゃん、婆ちゃんに警戒心を抱かせないという特技を持っている。

3人が黙々と釣っていたので期待していたが、「バケツに30尾以上入っていたよ。コブ(小ブナ)がね」。そう言いながら戻って来た。蔵川方面で竿を出したが、タナゴがあまりに小さいので、ここに来たそうだ。

「小さくてもタナゴはタナゴだろう。行こう!」と、早速移動した。とにかくタナゴの顔が見たかった。

 

北浦西岸に渡り、新宮方面に向かい蔵川近くのホソまで来ると、2人の釣り人が竿を出していた。明らかにタナゴ狙いの釣り人だ。そこで、そのホソの延長線上で竿を出した。しかし、アタリは遠い。ふと気付くと細い縦水路の脇に明らかに“タナゴ屋さん”が作ったと思われる釣り座が目に入った。一旦土手に上り、葦と雑草の茂みを回り込むと、幅40、50cmの縦水路に出た。明らかに数人が並んで竿を出した痕跡があり“タナゴ屋さん”が作ったポイントに間違いなさそうだ。

 

仕掛けを入れてみると水深は50、60cm、十分な深さである。そこで腰を据えてじっくり狙ってみた。間もなくアタリが出始めた。横水路に残してきた遠ちゃんに声を掛けると、「アタリもないよ」と言う。手招きすると、小生がタナゴを釣ったと勘違いしたのか、すぐにやって来た。「釣れた!」、「いいや。だけどこの状況、釣れると思わない?」と言うと、「うん。釣れそうだね」と遠ちゃん。

 

間もなく、小生の仕掛けに5cm程の小魚が釣れて来た。何とムギツクである。一般に“クチボソ”と呼ばれる嫌われ者たちは、タモロコかモツゴである。ムギツクも外見は大差ないが、側線に沿って走る黒い縦縞が鮮やかで、関東地方にはそれ程多い魚ではない。観賞魚としても売られていたり、小生は食べたことは無いが、美味い魚だとも聞いている。 この日のために水槽を掃除して来たという遠ちゃん。小生の「ムギツクだ」という声に飛び付いた。早速、持参のポンプつきバケツに水を入れ、掌を水に濡らし丁寧にハリから外した。

 

その後もアタリは頻繁にあるのだが、クチボソばかり。たまにムギツクが掛かると、遠ちゃんのバケツの住人に追加される。

4時を過ぎ、落日間近となった頃、小生の仕掛けに待望のタナゴが掛かった。35、36mmのオカメ、確かに小さい。しかし、朝から何ヵ所も場所換えを繰り返し、やっと出会ったタナゴである。思わず2人で歓声を上げてしまった。「やっぱり居たね」と遠ちゃん。

何と驚いた事に、その直後、遠ちゃんが立て続けに3尾のオカメを釣り上げた。しかし、4時半を過ぎ、周囲は薄暗くなり、残念ながらジ・エンド。

結局、タナゴは2人で4尾のテイタラクだったが、最後の最後に釣れただけに妙に充実感のある釣行となった。

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