釣行報告

NO.54 2008年の初釣りはマダイのシャクリ釣り

千葉県・内房の竹岡一帯には、昔ながらのエビ餌のシャクリ釣りでマダイを狙う小型の仕立て船を何隻も抱える船宿がある。20トン級の大型船が幅を利かせる最近の釣り船の中にあって、2〜3トンの小型船は、逆に新鮮な感じを受ける。

中には10人前後乗れる船もあるが、通常は4、5人で満席といった船がほとんどだ。2008年の初釣りは、その小型船でのマダイのシャクリ釣りに出掛けた。

竹岡の老舗船宿『鏡屋』から友人らと3人で1隻仕立てた。午前6時30分に出船。無風快晴のこれ以上は望めない好天に恵まれた。しかも西から暖気が入ったとかで、日中の最高気温予想は13度。「これでマダイが釣れてくれれば言うことないね」などと話しながら、釣り場に向かった。

ここでは、各船長が道糸に独自のタナの目印を打ったシャクリ竿を定員分積んでおり、手ぶらで出掛けても楽しめるようになっている。勿論、自前の道具を使っても構わないが、タナをメートルではなく、尋(1尋=約1.5m)で表現する船長も多く、船の道具を使った方が賢明だ。

「このところ潮温が下がっちまって、活エビが取れねーんで冷凍の赤エビだけど、今シーズンはそれ程食いは変わんねーから」と船長。友人2人は、この釣りは初めてなので、釣り場に向かう道中に餌の付け方からシャクリ方を教えて貰った。船中がこじんまりしている分、レクチャーも聞きやすい。

船長が、全員の竿のタナを合わせてくれ、いよいよ戦闘開始。水深50mラインで竿を出した。釣り始めて間もなく、シャクリ上げた友人の竿先が大きく曲がり、「食ってるよ」と船長から声が掛かった。慌てて糸を手繰り始めたが、「あっ、バレた」とガッカリした声。その声を聞き終わらないうちに、今度は小生の竿先に手応え。二手程手繰って合わせたが、次の瞬間、フッと軽くなってしまった。手応えはマダイと感じたが、直後に船長が大きなウマヅラを釣り上げて、「もしかしたら…」という思いが頭を過ぎった。

その後、何回か場所換えした後、別の友人が、外道で釣れて来ていたトラギスと変わらない手応え(本人の弁)で、300g級の可愛いマダイを釣り上げた。

 

「昨日は、上げ潮で食ったんだけど…」。トラギス、ホウボウ、ウマヅラ、カサゴなどの外道の嵐に船長の声が徐々に元気がなくなってしまった。それでも船長が400g級と500g級を2枚釣って、正午過ぎ、最初にバラした友人が、「上げて〜」という船長の声で道糸を手繰り始めた途端、「何かいるっ!」と声を上げて、500g級を1枚釣り上げた。

この日は、期待した上げ潮があまり流れず、その後も食いは立たず仕舞い。結局、マダイは300〜500g4枚だけだったが、30〜35cmのホウボウ、25cm級のカサゴ、25〜35cmのウマヅラ、そして良型のトラギスなど多彩な外道が楽しませてくれた。

「こういう船の釣りもたまにはいいもんだね」。成績はパッとしなかった初釣りとなったが、2人とも満足気だった。

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