釣行報告

NO.19 秋田県・雄物川水系・役内川の釣り

 

「30年振りの大雪で、つい最近まで台風後の大水みたいな雪代だったんですよ」。我々の秋田の定宿「新五郎湯」の若主人が、そう言いながら迎えてくれた。

「さ、さ、さ30年振りですか…」。思わず絶句してしまった。どうりで水が多かったわけだ。

実は今回の釣行は一計を案じ、例年よりも2週間程早めに出掛けたのだ。例年、6月の第1週か2週に出掛けていたのだが、どうも1、2週間遅い印象があったからだ。ところが、今回は結果として早過ぎてしまった。

 

いつものメンバー4人で東京を午後10時に出発、東北自動車道を北上、古川ICを降り、鳴子から鬼首(おにこうべ)を通り、秋ノ宮温泉郷に午前4時過ぎに到着した。まずは定番の役内川中流域に入った。川に下りた頃には、すっかり明るくなり、水量、水色までハッキリ見えるようになったが、例年よりも明らかに水位が高い。水温を計ると何と9度しかない。これでは、毛バリは見込みが薄い。

仲間2人はやや上流に入り、小生はメンバー最長老のO氏(小生よりもひと回り年上なのだが、とにかくタフ)とやや下流に入った。O氏と200m程間隔を取って下流に入ったが、見慣れたポイントが急流に飲み込まれ、例年の半分もポイントがない。

 

まずはトロ瀬を中心に餌(ブドウ虫)を流してみた。しかし、全く反応がなく、石裏の巻き返しなどを中心に狙うことにする。すると、一抱え程の石裏の巻き返しでヤマメ独特のコツンと鋭いアタリが来た。すかさず竿を立てると、心地よい引き込みで20cm級のヤマメが川面から躍り出た。この川のヤマメは、サイズのわりに幅が広い。俗に言う“幅広ヤマメ”である。その後、何箇所かのポイントを探ってみたが、アタリは遠く22cmのヤマメ1尾を追加してO氏と合流。O氏もほぼ同型のヤマメ2尾を持っていた。間もなく上流に入った2人とも合流、1人は18〜22cmのヤマメ4尾、もう1人は20cmのヤマメ1尾の釣果。「魚が全く瀬に出ていないね。この雪代が治まらないと駄目かも知れないね」と小生の相棒。

 

その後、あちらこちらをほっつき歩いたが、いずれの場所もひと息の状況。再び、最初に入った役内川中流域に戻って、4人で竿を出した。結局、この日は、夕方5時近くまで竿を出し、久々の渓流釣りを満喫した。釣果の方も4人でヤマメ20尾、イワナ2尾と条件が厳しかったわりにはまずまず。

 

 

「新五郎湯」に“チェックイン”する途中、コンビニや酒屋などを3軒回って(1軒目、2軒目では何故か「油はねっす」と同じ返事)やっと油を手に入れた。勿論、釣ったヤマメを食べるためだ。宿に着くなり早々に唐揚げ(素揚げ)にして頭からほうばった。実に旨かった。その晩は、13時間の釣りで心地よく疲れたためか全員が爆睡。夜中に降った大雨に気付いたのは長老のO氏だけだった。

 

2日目、「新五郎湯」で用意してもらったお握りを持って、午前5時前に出掛けた。ところが、夜来の雨で役内川は前日にも増して増水。釣りにならず、ワラビなどの山菜採りに奔走した。夕方近くになり、いくらか水位が下がったのを見て、役内川に様子を見に行くという3人と別れ1人、薄久内川で竿を出した。合流点から500m程上流にある堰堤下、増水で流れが渦を巻いていたが、キジ(ミミズ)を餌に仕掛けを流す内、目印をズズッと引き込むようなアタリ。竿を立てると重量感溢れる手応えで27cm級のイワナが釣れて来た。

その後、4人で薄久内川の上流に移動、20cm級のイワナを1尾追加して宿に引き揚げた。この日の釣果は4人でヤマメ5尾とイワナ2尾、そしてタラノ芽7つとワラビ2kg。今度は、小麦粉を手に入れて3枚に下ろしたイワナとヤマメ、手頃な大きさに切ったタラノ芽の天ぷらに舌鼓を打った。

 

3日目、「新五郎湯」の人々と来年の再会を約し、午前9時過ぎ、秋ノ宮温泉郷を後にした。新しい釣り場を物色しながら栗駒高原にまで足を伸ばし、一関ICから東北自動車道に乗って帰路に就いた。今年もまた、実に楽しい東北遠征だった

【ガイド】 ※ 交通、入漁料等は新五郎湯参照

 

役内川の地図

 

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