釣行報告

NO.13 秋田県・役内川水系の渓流釣り

秋田県雄勝郡雄勝町、標高はさして高くはないが、いくつもの山々が連なる“山国”である。冬には豪雪に覆われ、山の麓で役内川、大役内川、薄久内川という3本の渓流が合流している。本流の役内川は、秋田の大河・雄物川に合流している。中流域にはアユも放流されるが、上流域は3河川ともヤマメ、イワナの好釣り場として知られた所。役内川の渓流シーズンは、例年、ゴールデンウイーク前後にピークを迎える(解禁日は3月21日)が、なかなかその時期には出掛けられず、今年も6月に入ってからの釣行となった。

役内川の中流域右岸側にある「新五郎湯」、いわゆる昔ながらの湯治場だが、この宿が気に入って今回で3回目の釣行となった。

仲間4人で東京を午前5時に出発、東北自動車道を古川ICで下り、鳴子から鬼首(おにこうべ)を通り、雄勝町に正午過ぎに着いた。

 

大役内川、薄久内川は山中を流れる渓流だが、役内川は3河川が合流するあたりから“里川”となる。落差の少ないいわゆる平川なのだが、流れには大小の底石が点在する実にいい川である。初めてこの川に出掛けた時、尺級のヤマメをバラし、悔しい思いをしたが、今回もまずは役内川の中流域で大型ヤマメを狙った。

「今年はやっぱり暖かかったんだね。ワラビがみんな伸びちゃってるよ」と、友人のT。成る程、土手のワラビは大きく伸び、皆開いてしまっている。雪解けも早かったはずで、渓流シーズンの到来も早かっただろう、不安が頭を過ぎった。とにかく、役内川は運動靴でも釣りが出来る里川である。解禁から2カ月が過ぎ、多くのファンが竿を出したことは間違いない。おまけにこの日(6月6日)はピーカンの晴天。川なりの風も吹き、実に気持ちがいいのだが、渓流釣りでは最悪に近い条件だ。案の定、思い思いの場所に散って竿を出したが、全員釣果なし。

「全く反応なしだね。もしかしたらいないんじゃないの」と言いながら、テンカラで狙っていたTとMが下流から戻って来た。小生とOさんは、中流域で餌釣りで竿を出したが、真っ赤(実際はオレンジ)に魚体を染めたハヤを何尾か釣っただけだった。

 

「この天気じゃ、居ても食わないよ。山に行ってみよう」ということになり、薄久内川に向かった。「熊出没注意!」の看板がある上流の車止め(小型4駆動車ならさらに上流まで行ける)付近で車を下り、周囲に散った。小1時間の釣りだったが、Tが20〜25cmのイワナ3尾、小生が小イワナ2尾、テンカラで狙ったMは何度かイワナが出たもののハリ掛かりしなかった。その後、何ヵ所か竿を出してみたが、最初に入った場所以外はパッとしなかった。どうやら、現在の釣り場はもっと上流域のようだ。いわゆる源流域になり、我々オジさん釣り師には辛いので、夕まずめの本流(役内川)に下りた。

その日は、午後6時過ぎまで大役内川との合流点上流付近で頑張ったが、Tがテンカラで執念の1尾(24cmのヤマメ)を釣り上げただけで新五郎湯に引き揚げた。

 

 

2年振りに逢った新五郎湯のおばちゃんは元気だった。若夫婦中心の営業体制になったようで宿の中は若干“モダン”になり、以前は自炊だったのが、3食食べられるようになっていた。山菜やイワナ料理の夕食は、素朴で実に旨かった。

翌朝は全国的に入梅した日。雄勝町も朝から雨。シトシトピッチャン、風も止み絶好の渓流釣り日和である。

あ〜あ、結論を書くのが辛い。その日、小生が釣ったのは、お腹が赤い(ハヤ)魚ばかり。今回が渓流釣り2度目、現在テンカラ釣りの修行中であるMですら23cmのヤマメを釣ったというのに…。最も数を釣ったのは、Tでイワナ4尾にヤマメ3尾。Oさんは、数こそ5尾だったが、何と27cmの幅広ヤマメを釣り上げた。あ〜それなのに、小生はハヤ7尾とカジカ1尾とは…。しかし、2年振りの秋田はやはり楽しかった。役内川、やはり凄い川である。天候に恵まれたとはいえ、あの平川で解禁後2カ月以上経った今なお、尺ヤマメの夢を抱かせる27cmが姿をみせるのだから。もう1カ月早く出掛ければもっともっと“いい釣り”が出来るはず。

「全員無事なら来年また来よう」。決まり文句と共に解散。来年こそ尺ヤマメを釣るつもりである。

【ガイド】 ※ 交通、入漁料等は新五郎湯参照

 

役内川の地図

 

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