「第138回天皇賞」、凱旋門賞帰りのメイショウサムソンの出走こそなかったが、小生が“現役最強”と信じて疑わぬダイワスカーレットをはじめ、今年と昨年のダービー馬が出走してきた。結果はご存知の通り、15分にも及ぶ長〜い写真判定の結果、昨年のダービー馬・ウオッカが、1円玉1個分(2cm)の勝利をもぎ取った。
「本命だろう。つまんね〜よ。やっぱり馬券は穴じゃなくちゃ!」と言う人がよくいるが、競馬の醍醐味とは、強い馬が強い競馬をして勝つことだと思っている。
1レースに数万円も数十万円も投じる“大銭打ち”(たいせんぶち=大金打ちとも書く)ならともかく、百円単位かせいぜい千円単位で楽しむ我々小博打派には、本命馬券は確かに魅力的ではない。しかし、馬券的な魅力と競馬の醍醐味は別の話である。
未勝利戦や下級条件戦で馬券的魅力を追求するのは分かるが、バリバリのオープン馬が揃うGI戦では、馬券よりも優先するものがあってもいいように思う。
現在の競馬ブームのきっかけとなったと言われるハイセイコーは、地方競馬(大井)で6戦6勝、向かうところ敵なしの成績を引っ提げて中央競馬にデビューした馬である。中央のエリート達に立ち向かう雑草・ハイセイコーは、判官びいきもあって常に1番人気に祭り上げられた。
その後、弥生賞を皮切りに、スプリングS、皐月賞、NHK杯まで破竹の4連勝。ダービーでタケホープの3着に敗れたものの、トータル22戦に出走し、実に19戦で1番人気(残る3戦は2番人気)になった馬である。引退後には、騎乗していた増沢騎手が、「走れハイセイコー」というレコードまで発売するという競馬界初のアイドルになった。
ハイセイコーは確かに強い馬であったが、歴代の駿馬に比べ、特段に強かったのかと言えば、必ずしもそうとは言えまい。しかし、彼が競馬界に残した足跡はどの馬よりも偉大だったと今でも思っている。
競馬には、そうした馬券(博打)とは一線を画した部分がある−そう思っているのは、小生だけではないはずだ。