ローレライの歌編
(初出 1968年)


 今回、再読してみたのは、色々ある原作の中で私人気がとりわけ低く、中学時代に一回流し読みしただけで「あ、こりゃ、もう、いいわ」とほっておいた「ローレライの歌編」です。私分類でこれと同列なのは、この次の「海の底編」ですね。不人気の理由は 娘がちこっとしか出ていないから です。

 さて、そんな「ローレライの歌編」は、「ヨミ」後の復活シリーズ(「冒険王」掲載分)で「移民編」の次にくる作品。
 このあたりの話では、もう、かなりキャラの見た目(中身もある程度か)が大人っぽくなってます。頭身が高く、手脚が細長い。この変化は、もちろん「怪物島」から連続して起こっているわけで、「移民編」でもかなり顕著ですが、「ローレライの歌編」に至って決定的になった感じ。何をもってかというと、ズバリ、アップになった時の ハインリヒのしわ です。以後、「天使編」「神々との闘い編」に至るまでこんな感じの絵で続くのですが、このあたりの絵柄は「後期絵」にはない独特のシャープさと色気があって、私は結構好きです。

 キャラの見た目に関して、もう一つ特筆すべきは、島村がなんだか面白い服を着ていることですね。この服は「海の底編」でも着ています。そもそも原作島村は初めからヤンチャで、戦闘においても別に消極的ではなく、たまにお調子者っぽい一面を覗かせることすらあるのですが、特にこの時期の彼は、なんでしょう、イキガリっぷりが最高なんですよ。カッコよくあることにいささかの照れもないというか、見てる方が照れるというか。ある程度、自分に自信持ってそうな感じもしますね。平成アニメ版の彼しか知らない方には、ぜひ、見ていただきたいです。誰、これ?と思うこと請け合い。
 残念ながら、島村さんがこういう凝ったデザインの服を着ているのは、後にも先にもこれっきりだった気がします。


 私の大好きなフランソワーズさんは、この話には、初めにほんのちょっと出てくるだけで、セリフもツマンナイです。

  何が不満かというと、この話と次の「海の底」は、娘の絵にあまり力が入ってない感じがするんですよ。ゲスト・キャラはきれいに描いてあるのに。ま、しょせん、この二編では端役ってことですか。この時期、髪の上部が妙に盛り上がっているので、相対的に眼の位置が低くなって、ますますバンビ……いや、いいけどね、バンビ顔。バンビ脚も好きだけど。(どうでもよいのだが、どうしてレトロ動物って耳の端が黒いんだろう)

 「古いお城から聴こえてくるローレライの歌ってすてき」みたいな、乙女発言が増えてくるのも中期以降ですね。娘さんらしくなったことです。そうですね、私、本来なら、こういう底の浅げなロマンチック発言って「ケッ」と思う方なんですが、娘に限っては何しろひいきですんで、何言っても許すというか……「こういう甘々なことを恥ずかし気もなく言っちゃうところが、この娘の素直でいいとこなのよね」とまで思っています。もちろん、私が周囲の人間に対して常にこういう寛容な態度をとっているのかというと、それはまた全然、別の話ですけど。

 ま、何のかんの言っても、93がカップルとして、すっかり落ち着いた感じがするのは好ましいです。バルコニーは、すっかり二人の定位置。はいはい、やっててちょうだい。


 といったところで、そろそろお話に移りましょう。

 冒頭、大ゴマで数ページ続くライン河の風景につけられている説明ですが。
ドイツを訪れた観光客たちは……(中略)……いわゆるライン下りをする
いささかたいくつな旅だがそれでも次々に現れる古い城の風景は結構美しい……
……(中略)……
魔女ローレライのロマンチックな伝説
しかし実物はそんな美しい伝説とはどうも結びつかないようなゴツゴツした不細工なただの岩のカタマリである

……ずいぶん冷めた、どことなく悪意に満ちている気すらするナレーションだと思ったら、なんと、アルベルト・ハインリヒさんのお手紙でした。しかも一人称はボク
 この「長い長いドイツ人の手紙」、たいへん読みごたえがあって面白いです。4ファン必読。ハインさんの見事な描写力を堪能いたしましょう。



2002/11/06
すみませんー。とりあえず今回はここまでのアップです。
ヘンな所でやめてすみません。続きはいずれ……。