◆ 小さな嫉妬 ― 001の場合 ― ◆
by: 坂崎ようれ様(ようれわーるど


「夜の時間」から目覚めた僕は夜が嫌い。
眠れないから。ずっと一人で起きてなくてはいけないから。それに……

僕はパパに脳を改造されたサイボーグ001。
パパはブラックゴーストに入ってからどうなったか知らない――別に知りたいとも思わない。
ママは僕を警察に連れて行こうとして……パパに殺された。
そういうことも思い出してしまうから、僕は夜が嫌い。

僕はギルモア博士を起こさないように部屋を出る。
僕の念力[テレパシー]で揺り籠ごとドルフィン号内を移動する――と言っても限りある潜水艦内だから、いつも行く場所は決まってるけど。

その場所――操縦室に着き、僕はドアを開けようとしたが、中から話し声が聞こえてきた。
「大丈夫? フランソワーズ、疲れてない?」
「平気よ。心配してくれてありがとう、ジョー」
009と003だ。

パリに寄った頃から二人で行動することが多くなったみたい。
それに「ジョー」に「フランソワーズ」って……二人でいる時はいつもこうして名前を呼び合ってるのだろうか?
「そう言えば001は起きてるんじゃなかったっけ? いいの?」
009が003に尋ねる。
「ええ。でも何か考え事してたみたいだから……それに今は見張りの時間だから、ギルモア博士と部屋にいるはずよ」
そう言って二人は笑う。

003はずっと僕の面倒を見てくれている。
009も最近、003と一緒に見てくれる――抱き心地も003やギルモア博士には敵わないけど……まぁ、悪くはない。

003に抱かれていると、たまにママを思い出す。
顔は覚えているけど、どういう声だったかも覚えているけど……どういう風に抱いてくれていたかとかどんな匂いがしてたかとかは思い出せない。
だから、003に抱かれていると嬉しいし安心するのに――何故か寂しい。

「001!?」
「どうしたの!? こんなところで……」
ドアの前で色々なことを考えていたら、目の前に003と009が立っていたことに気付かなかった。

「……」
二人は見合って微笑み合うと、それぞれ僕の方に手を伸ばす。
003の腕に抱かれる。009は揺り籠を持つ。
「ごめんね、001。寂しい思いさせちゃって」
(寂しい!?)
僕は009の言葉に耳を疑った。
僕が『寂しい』ように見えたの?
思わず003の顔を見る。
003は何も言わず、ただ黙って微笑んだ。

「これからお茶を入れようと思うんだけど、001も一緒に飲むかい?」
歩き出した二人。009が尋ねてくる。
「三人でお茶会しましょうよ」
僕が無言でいると003が言った。
〈……僕はミルクじゃないと嫌だよ〉
「ええ」
003が嬉しそうに笑う。そして009を見る。009も嬉しそう。

何で003は僕を見てくれないんだろう。
僕が言ったのに……

僕は無意識に009をじっと見ていた。
「――ん? 何だい? 001」
視線に気付いた009が不思議そうに僕を覗き込む。
〈何でもないよ〉
僕はそれだけ言った。

今の僕にとって003が僕のママなら――009がパパ、なのか?
(……それはちょっと嫌かも)
僕はそう思った。

でも、003が笑ってるのは僕も皆も嬉しいこと。
それが009のせいなら――003にお似合いかどうか、しばらくは冷静に見守っていくとするか。



どうです! かわいいだろう、イワン!(って、私がいばってどうするよ)
このお話は、HP開設をきっかけにお友達になって頂いた ようれわーるど の坂崎ようれ様にもらいました。

坂崎さんのページでは、ほんとはキリ番とるとお話リクエスト権をゲットできるのですが、実は、私、初めてメールを出したときに、ちょっとばかり、もの欲し気なそぶりをしてみたんですよ。したらば、坂崎さんの方で察してくださいまして「キリ番関係ナシで、親交記念ということで SS 書きましょう」って言ってくださったんです! あああ、ありがとうございます! しかも、その後、私、めでたく、キリ番(これも、本来設定されてたのと、ちびっと違う番号だったのだが)ゲットしましたですよ。ふふふ。
ということで、再びこのコーナーに坂崎さまのお話がのる日も近いと思われます。みなさま、お楽しみに!

「ようれわーるど」様は、2002年12月25日をもって閉鎖されました。坂崎様、お疲れさまでした。(2002/12/28)