◆ 黒い瞳の… ◆
by: CSP311 様
「デジャヴというやつかな?」
実際来たことは無いのに、確かに今見ている風景には009に郷愁を感じさせる何かがあった。古い街並、木製の電柱、遠くの山々、木造の校舎……。ここは21世紀の現代ではないのかもしれない。
やがて日も暮れ夜空には満天の星が煌めきはじめた。川の土手にたたずむ009の脇をすり抜け、小さな七夕飾りを持った子供達が川原に下りていった。
その中の1人の小さな女の子に、ふと目が留まる。黒く大きな瞳が綺麗だ。
地方によっては小さな七夕飾りを海や川に流すという風習があるという。
子供達はみんなそれぞれの願いを込めた短冊をつけて川に七夕飾りを川に流し、自分達の願いを祈った。
<あれ…さっきの女の子が泣いている>
七夕飾りが岩か水草に引っかかって止まっているらしい。009はすぐに川の中に入り、引っ掛かっているその子の七夕飾りを引き上げる。
短冊に書かれた少女の祈りの言葉が目に入った。
おかあさんにあえますように
七夕飾りを再び川に戻す。今度は順調に流れていくだろう。
「おにいちゃん、ありがとう」
振り向いて女の子を見る。少女は微笑んでいた。
「願いが叶うといいね」
その黒い瞳。こみ上げる懐かしい思い。どうしたんだろう? この熱い感情の高まりは? 涙が止まらない…。その微笑…。その微笑みは?
「かあさん!!」
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「あら、お目覚め? ジョー」
ソファーに腰掛けたまま眠っていた009が目を覚ます。003はいつものように001を腕に抱いている。ギルモア博士は学会の打合せで外出だ。
「ふぅ。いつのまにか眠っちゃったらしい」
「とても安らかな寝顔だったわよ」
「そうかい?」
それにしてもやけにリアルな夢だ、と009は思った。
「ところでフランソワ−ズ、今日は何の日か知ってる?」
「タナバタっていう日本のお祭りの日でしょう?」
「うん・・。子供の頃、施設の子供らで作った七夕飾りの短冊に毎年俺は<おかあさんにあえますように>って書いてたっけ。でも結局それは叶わぬ夢だったなぁ」
<だが今日、夢の中で逢ったあの少女……。あれが母さん?>
遠い目をして物思いにふける009を見て001は、かすかに笑ったようだった。
***003…一仕事オワッタ。疲レタカラボクハ寝ル***
「あら、今度はイワンがおねむなのね」
003は001を連れて寝室に行った。
「ん?」
独り残された009はふとベランダに飾られた小さい七夕飾りに気が付いた。
近づいて良く見るとフランス語で書かれた短冊が…。
<なんて書いてあるんだろう?>
ベランダに行き、短冊を手にしようと手を伸ばしたが…。
「勝手に人の願い事見ちゃダメよ」
003が001をベビーベッドに寝かせて戻って来たようだ。
「フランソワ−ズ(汗)…。な、何てお祈りしたんだい?」
「秘密(笑)。ほら、天の川がとっても綺麗よ、ジョ−」
星空を指差しながら003は009に寄り添って腕を組んだ。
<イワンは眠る前に「タナバタ」の今日、小さい頃のジョーの夢を叶えてあげた、と言っていたわ。そう、彼は夢(サイコキネシス)でお母さんに逢えたのね。そしていつか…今日の私のタナバタ様へのお祈りも叶えてくれるわよね? イワン>
CSP311 様 から思いがけず頂きました、七夕 SS。星祭りの夜ですね。
ああ、平成アニメはどうなるのでしょう。やっぱり七夕ですから、カップルで星空を見上げるってのは欠かせないと思うのですけど……(まあ、あそこはカップルっていうんでもないみたいだからなあ)。
フランソワーズは短冊に何を書いたのでしょうね。ギルモア邸では、願い事をかなえるのは、七夕さまではなくイワンの仕事なんですね(クリスマスのサンタはギルっちでしょうか)。ジョーの願いはかなえたんだから、フランちゃんの方も頼むよ、イワン。
CSP311 様 、どうもありがとうございました。