◆ カレイドスコープ ◆
by: CSP311 様










「大気圏外からの脱出…なんとか2人を助け出す術は無いのか? 001!」
007は星空を仰ぎ無念そうに呟く。
「お願いイワン、ジョーを! ジョーとジェットを助けて! お願い!! お願いイワン!!」
「助けてやってくれ001、悲しみを味わうのは俺1人で充分だ!」
004には003の気持ちが痛いほど分かった。残される者の痛みを…。
*** 003、君ノ索敵能力とボクノさいきっくぱわーヲ連動サセラレレバ可能カモシレナイ。モウスコシデ彼ラノ意識は無クナル……サア! 003ボクヲ補佐シテ!! ソウ! 高度…北緯…東経…落下速度…座標軸同調! ヨシ、捉エタゾ! 002、009回収! ***
001の目から閃光が輝く。そしてそれが消えた瞬間、2つの焼け焦げた物体が出現した。
「ジョー!!」
「002!!」

**************************************


(!)

(頬に感じた冷たい感触……。定まらない輪郭…。傍らにいるのは誰?…。003…? フランソワーズ…アルヌール……きれいな瞳…泣いている…? さっきのは……こぼれた君の涙?……ぼくは…)
「目が覚めたのね!」
歓喜の表情を浮かべ彼の手を握る003。涙がまた零れ落ちた。
「おはよう…フランソワーズ…」
「ジ…ジョ−…(涙)」

**************************************


「よう、ジョー。良くなったかい?」
「ああ、アルベルト…お陰さまで、支えてもらえば一寸は歩けるようになったし」
004はベッドの横の椅子に腰をかけた。
「ジェットも順調に回復しているみたいだね…張大人が言っていたよ」
「そう、張大人の献身的な愛の力でね(笑)」
「ハハハハハ…」
「フランソワーズは張大人と夕飯の買出しか…。今日の夕食は中華かな?」
「フランソワーズのつくるスープもなかなか美味しいよね…」
「そりゃ美味しいでしょうよ、張り切ってつくってるんだからね(笑)」
そう言ってポケットからゴロワーズとライターを取り出そうとしたものの、その手を戻した。表情が若干曇る。
「あのな、ジョー…。もうBGも片付けたし、皆も今後の身の振り方を考えている…張大人とグレートは日本で一緒に中華飯店を開くそうだ。ピュンマはアフリカに、ジェロニモもジェットが回復次第一緒にアメリカに帰るらしい…そして俺もベルリンへ」
「アルベルト……」
「フランソワーズはここに残るとさ(笑)ギルモアのおやじやイワンが心配って言ってたけど一番心配なのはきっとお前さんの事だぜ。今もあんなに献身的に介護してるし。あの娘はお前さんが本当に好きなのさ(笑)」
「……(紅潮;)」
004は009を見つめてニヤリと笑うとおもむろに立ち上がった。
「ジョー、いろいろあったが…また逢おうや。余裕が出来たらドイツに遊びにきてくれ」
鋼鉄の手を009に差し伸べる004。009の涙腺が緩んでゆく。
「ありがとう、アルベルト…(泣)」
009は両手で004の手を握った。身寄りの無い009にとって004は兄のような存在だったのかもしれない。
**************************************


ギルモア邸のベランダで星空を見上げる009。遠く響くボーイングの轟音と飛行灯の点滅。
「みんな行ってしまったわね」
1人たたずむ009の傍らに003は並んだ。
「なあに、また会えるさ…。アルベルトが落ち着いたらドイツへ来いって(笑)」
「まあ、いいわね…ドイツ」
2人ともぎこちなさを感じていた。生体部分が発熱し発汗してくる。
「足の方はどう?まだ違和感があるのかしら…」
「お陰さまで、今朝より調子がいいみたいだ。面倒かけちゃったね、君には」
「い、いいのよ私は…あなたが元気になってくれれば…」
「…ありがとう」
どぎまぎして003は009を見上げた。潮風になびく009の栗毛…彼の微笑を見ているとまた顔が紅潮してきたようだ。
「あ…」
009がゆっくり003の肩を抱き寄せる。2人の鼓動は高鳴った。003が目を閉じると009は彼女の唇に自分の唇を重ねた。
「フランソワーズ…」
「好き…」

眼下に広がる断崖に穏やかに打ちつける波の音だけが響いていた。




CSP311 様 からいただきました、93両思い話。
まあ、二人がくっついたのって、恐らくこのあたりのタイミングだろうと私も思います。原作で少しも描写されていないのが、かえってありがたいというか、妄想しがいのある所ですよね。
カレイドスコープ(万華鏡)というのは、例のヨミ編ラストの元ネタと言われている SF 小説(ブラッドベリ?)の題名だったですかね。私は読んだことないです。どんなお話なんだか気にはなってるんですが。
それにしても、焼け落ちてくる二人を見つけるのは、さぞかし辛い作業だったでしょうね。その時は、もちろん必死だったのでしょうけど。
話としてのまとまりがどうこうということはあるけれど、私は009がヨミ編で終わらなくてよかったと思う方ですね。そりゃ、あれはいいラストだとは思うけど、キャラ萌えファンなのでキャラの幸せの方が大事なのよ。
CSP311様、どうもありがとうございました。