メジャー入り ということ
 先週末、東京でナレーション研修に参加する機会を得た。講師は矢島正明さん。未開拓だった放送の朗読・ナレーション分野の偉大なパイオニアです。よく知られたところでは、世界ふしぎ発見!の「今夜の不思議の舞台はインカ…。」のあの方です。
 矢島さんで隣でテキストを読み始めると、まさに「あの声」。思わず、鳥肌がゾクゾクッとたちました。声の魅力って凄い。

 講座は極めてわかりやすく有意義でした。私の読み癖も指摘してもらい、まさに目から鱗が落ちる思いでした。

 メジャー入りとは、矢島さんがナレーションでの「文頭のイントネーション」を表現した"テクニカルな解説"のひとつです。反対は「マイナー入り」。
 なかなか、文章では表現しづらいのですが、簡単に言えば、文頭を「高く入るか」「低く入るか」ということ。
 イメージで言えば、「マイナー入り」とは、森本レオ氏やタグチトモロヲ氏が代表的な「マイナー入り」。半音下げたような音で、文章が始まるイントネーションです。

 矢島さんは「最近、このパターンが何となく時代に受け入れられている。やってるほうも何となく『味があるように聞こえる』し『気持ちいい』から、みんな、こうなってしまっている」と。特にドキュメンタリーの世界では尚更、この傾向が強い。
 マイナー入りはあくまでも「アンダースローの変化球」。下手をすれば、その後、ずっと地を這うようなナレーションが続くことになる。
 ナレーションの基本は、あくまでも制作者・表現者の"意図"や"思い"を"伝えること"。やっぱり、きちんと文章を押さえて、相手を説得していく「メジャー入り」で行きたい。これが基本の「直球」であり、この流れの中に「マイナー入り」を混ぜることで、より効果的に変化球を放ることができる。
 そういう意図もなしに無意識に「マイナー入り」してしまうのはあなたの「読み癖」です。とキッパリ。

 目から鱗が落ちました。

 そうなのです。私も気がつかないうちに「マイナー入り」の読み中心になっていたのでした。
最近、自分のナレーションを聞いて「何か違う」、そう感じていたのが、今回の講座を受講するきっかけだったのですが、その疑問が解けたような気がしました。憑き物が落ちたと言うか…。

 と、いうことで、今週の番組では「メジャー入り」の読みを基本にしていました。
 ご覧になっている方で、先週と「何か読みが違う」とお感じになった方、こういう理由なのです。