心の傷 ということ
 きょう、同僚のアナウンサーに「林田さんって坂本ちゃんに似てますよね」と言われ、以前よく言われた噂を思い出した。

 入社以来私には、気に入らない噂がある。それは私が「○カマ」ではないか、というものである。
 私をよく知る人は、勿論、そんなことはないと分かってはいるが、よく知らない人には、どうも「カマっぽく」映るらしい。
 世間にいらっしゃる同性愛嗜好の方や、自分の本当の性別が違っているとお感じになっている方を何ら否定するものでもしないし、何の差別感は持たないのだが、少なくとも私はそうでない以上、「○カマ」と見られるのが嫌で嫌で堪らないのだ。

 入社1年目、TBS系列のアナウンサーとして東京で研修会に参加した時のこと。
 合評会で、持参した「私のニュース同録VTR」を見て講師は、指を真っ直ぐに立てて裏返し、左の頬の前に持っていき、こう言った。
「君はこれか?」
 唖然。

 氏に悪意はなかったと思うが、何ということを言うのかと、呆れたと同時に結構傷ついた。

 つまり、ふとした仕草や指先の動きが「カマっぽい」というのだ。そんなこと生まれて初めて言われた。
 それ以降、『第三者から見れば、自分はカマっぽく映っている・見られている』、そう思って、以後、男らしい仕草って何なんだ、と考えることもしばしば。

 で、その3年後、私は「ほっとポテト」という朝の番組を担当した。その中の、あるコーナーに「JAZZ DANCEをみんなでやろう」というミニ講座があった。私達出演者も講師の先生と一緒にスタジオで実際に踊って収録、放送するのだ。

 私にはダンス経験など皆無。一生懸命頑張って練習したが、その甲斐もなく、リズムには乗れず、動作・ステップなど円滑にできない。
 しかし、視聴者やスタッフにはそのズレ具合や仕草が殊のほか面白かったらしく、先生よりむしろ滑稽な私のダンスが多く抜かれたりして歯軋りしながらオンエアーしていた。
 そして、私のダンスにネーミングがついた。

 曰く「くねくねダンス」。

 悔しかったよコレは、ホントに。テレビ的には受けてたけど、内心泣いてましたよ。ホント。これは私は『笑わせてる』んじゃない、『笑われてる』んだ、という思いが強かった。
 で、くねくねにならないように、一生懸命やった。でも、やろうとすればするほど、おかしなもので、逆に「くねくね度」が上がるのだ。以来ダンスは一度もやってない。
 これも、心の傷。

 今回は「坂本ちゃん」だもんねぇ。
 いや、言われたこと自体で傷つくわけではないし、前の2件とは違ってこれが心の傷になるわけでもないんだけど、一人がそう感じてるってことは、視聴者の多くの人がそうだと思ってるって事ですよね。それは嫌だな。『あーやっぱり、いまだにそんなイメージなのかなァ。』と。

 冒頭書いた通り、私が女の人が大好きだってことを知ってる人にとっては「あっはっはー。そう言えば、似てる、似てる」なんだろうけど、知らない人にとっては「まさか、ひょっとして?」なんて感じてる人がいるのかもなー。
 あーああ。やだやだ。