2003年07月22日

市中引きまわし

 12才の少年が引き起こした誘拐殺人事件に関して、大手の掲示板などに少年に関する個人情報が晒された。
 さらに、少年とされる根も葉もない個人の写真が、携帯電話によるメールで全国を駆け巡ったと言う事実。
 個人のプライバシーを勝手に暴き、曝して面白がる感覚。こんな社会は、はっきり言ってまともではありません。

 鴻池大臣が言うように、こんな凶悪な事件を引き起こした当事者は、さらし首にされて当然と考えますか?
 あなたは裁判官でも、調査にあたった警察官でも弁護士でもありません。そして勿論、被害者の家族でもありません。
 なんら、直接、関係していないのに、他者をさらし首にする権利は微塵もないのです。
 でも、ネットの掲示板で行なわれている行為はまぎれもない「さらし首」なのです。
 そして、携帯電話で少年の顔写真を受け取り、それをまわしてしまった人たちも、その行為に手を貸してしまっているのです。
 
 逆にあなたの個人情報がこういう状況で晒されたとしたらどうだろう?
 それも知らないところで・・。
 
 少なからず、人は知りたいと思うと同時に、何かを発信したいという欲望を持っていると言います。
 そして、匿名性が確保され、発言の自由が許された空間に身を置いた時、
 無責任な、野放図な発言が溢れてしまうのは、悲しい現実です。

 顔と顔をつき合わせてもの言えない人が、顔を隠すと、他者に対して牙を剥く。
 インターネットの世界は、まだまだ「危うい」と思います。と、同時に、将来、この世界に確固たるモラルを作ることは出来るのだろうかと不安にもなります。