2003年01月06日

北朝鮮報道

 今や夕方のニュース番組は「ワイドショー」化が激しい。
 見ている層が、主婦層中心のためと聞くが、何をかいわんやである。

 視聴率を重視したニュース編成が東京から流れてくる。
 その最たる例が「朝鮮中央テレビ」の放送内容の垂れ流しだ。

 各局が恥ずかしげもなく、そのまんま放送し、見出しは大体、「仰天」とか、「呆れた」とかそんな茶化したようにも見える内容だ。
 ステレオタイプで繰り返し描かれる「北朝鮮」という国のイメージが、TVを通じて増幅されている。

 この正月、色んな人と話す機会を得たけれど、『北朝鮮には武力で迫らんとダメさ』という声を複数聞いた。
 あんな国なら何やってもいい、と言わんばかり。
 『北朝鮮は怖い国だし、変な国なんだから、その国民は飢え死にしていい』という空気が日本に広がりつつある。今の日本に溢れる閉塞感も後押ししているのかも知れない。

 こういう風潮って実に危ない。

 確かに、北朝鮮は、政治は正常に機能しておらず、国際社会のいうことに耳を貸さない上に、自国にのみ都合のいい「屁理屈」ばかりをこねつづけている。

 でも、気をつけなければならないのは、国と一般市民とは別だということ。
 『国のために、金正日のために死ね』という教育を受けつづけ、体制の批判が死に繋がる状況では、暴走は止められないのかも知れない。
 しかし、だからといって、朝鮮民族に対する差別感を助長したり、武力を行使してしまうというのでは、100年〜50年前の世界と何ら変わらない。

 確かに、あの国の真の生活が公開され、報道されることはまずない。
 取材が許されるのは国家によって管理された姿ばかり。
 だからといって、面白がって「朝鮮中央テレビ」の特集ばかりを垂れ流して良いはずがない。
 北朝鮮の問題をどう報道するかは、実にナーバスでデリケートな問題だと改めて認識しなければならない。