「エリシア、何をしているの?」
 
家事の合間に手を止めグレイシアはエリシアを見つめた。
先ほどからぺたりと床に座り込み紙とクレヨンと格闘している。
 
 
「んーとねお手紙書いてるの」
 
 
母の呼びかけににっこりと顔を上げる愛娘。
 
父親を亡くしてからあまり遊びにも熱中しなかったエリシアが
いつになく楽しそうにしているその姿にグレイシアはほっと安堵した。


 
未だに胸にぽっかりと空いた穴。
マースが死んだときに私の心の一部も一緒に消えた。
いっそのこと一緒に埋めて欲しいとさえ願った。
悲しくて悲しくて泣いてばかりいたけれど
日々の生活に追われいつしか涙も流さなくなった。
あなたがいないという現実に否応ながらなじんだ自分がいる。
 
 
でもね───
 
ずっとずっと一緒にいて欲しかったのよ。
私もエリシアもあなたを心から愛していたから。
もう一度会えるなら、とエリシアと共に後を追うことも考えた私を
あなたが知ったら怒るのでしょうね。
 

 
「はい!ママの切符!」
 
 
エリシアの小さな手がはいっと小さな紙切れを差し出す。
 
涙ぐんでいたのを慌てて繕い微笑んで受け取った。
広げるとそこには一生懸命書いた文字らしきもの。
 
「こっちはエリシアの!」
 
エリシアが嬉しそうに続けた。
 
「パパ遠い天国でお仕事一杯あるから帰ってこられないんでしょ?
でもエリシアもママもパパに会いたいもん。だからこれで会いに行くの!」
 
「エリシア・・・・・」
 
 
思わず手を伸ばしエリシアを抱きしめた。
 
「そうね・・・・きっと会えるわ・・・・」

 
 
 
もしもそこが天国ならば────
 
 


 
「ママとエリシアが行くまでパパは待っていてくれるから・・・」
 
 
 
 
 
 
また愛しいひとに会えるそのときまで
 
 
 
精一杯
 
 
 
生きていこう
 
 
 
だから天国で褒めてね
 
 
 
 
 
 
よくやったと・・・・・いつものように
 
 
 
 
 
ねぇ・・・・・・・・・・・・・・・マース・・・・
 
 
 
もしもそこが天国ならば。