バカンスは危険がいっぱい:おまけ



弥勒と珊瑚が怪我を負ったこともあって4人は早々に帰路につくべくペンションを出た。



「・・・・・なぁ・・・珊瑚、弥勒となんかあったのかよ?」
「犬夜叉!余計なこと言わないのっ!あ・・珊瑚ちゃん?!気にしないで〜」

「・・・・・・・・・・・・・・あははは・・・」



朝からすこぶる機嫌の悪い弥勒を遠巻きにしながら

・・・・正確に言えば気落ちしている、というところか。

犬夜叉とかごめが珊瑚に囁きかけていた。
珊瑚には弥勒の機嫌の悪い原因はわかってはいたが
その理由を彼らに話すことはさすがに出来ない。
ただ、さすがというかそういう方面にするどいかごめはなにか察しているようではあったが。



少しかわいそう・・・・だったかな?



珊瑚の心にほんの少し弥勒に対する申し訳ない気持が生まれたが
それをあわてて否定する。

そもそも寝ちゃったのは先生なんだし・・・・



珊瑚が謝る必要はまったくない。
すべて弥勒自身のせいである(笑)



「そ、それより・・かごめちゃんたちこそどうしたの?
あたしが部屋に戻ったとき犬夜叉廊下で寝てたでしょ?」
珊瑚がかごめにこっそり耳打ちした。

今度はかごめが頬を染めて苦笑いする。
「・・・・・・だってあいつったら
せっかくの二人っきりにどうしようもなく野暮なことばかりしか言わないんだもの!」
だんだんかごめの言葉に怒りが込められる。
「明日の朝めしがどうの、布団じゃないと寝られないだのって
あたしと二人っきりなのわかってないんだから!!」



「・・・・・・・だから廊下にたたき出しちゃった」



思わず珊瑚は笑ってしまう。
自分よりははるかにそっち方面では進んでいるはずのかごめだが
肝心のお相手の犬夜叉はものすごく照れ屋で可愛い。
きっとあいつなりに嬉しかったのだろう。
誰かのような甘い囁きができるわけもなく、浮かれてはしゃいで・・・・かごめを怒らせて。



「・・・・あのお守り効くかな?」
「え?!あの・・・・・・七色の輝石のペンダント?」
「うん・・・・・・叔母の話を聞いていてもたってもいられなくて
ここまでわざわざきちゃったわけだけど・・・」



そういいながらかごめは胸元からそっとペンダントをとりあげた。
その石は角度によって様々な色の輝きを放っている。
かごめの叔母の話によると
ここの海岸でみつかるこの石は、はるか遠い昔一組の恋人たちがその想いが
いつまでも色あせることのないように願ったために七色に輝きだしたのだ・・と

「たんに客よせの作り話だろうけどね」
かごめがふっと笑う。



誰が言い出したのか知れないようなそんな話を、鵜呑みにするほど子供ではないが
恋する乙女たちには受けがいいらしい。
かごめはかごめなりに犬夜叉との恋愛に悩みがあるのだろう。
その話を聞いた途端、ここに来たい!と言い出したのだ。





誰だって愛する人がいたらその想いがずっと色あせないことを願うだろう。
いつまでも変わらない永遠の愛。
本当にそんなものがあるのだろうか・・・・・?
儚いから愛は美しいのか────


それでもあたしは・・・・・・・・・・


弥勒の姿を思わず目で追う。
弥勒も珊瑚を見つめていたのだろう。
お互いの視線が絡み合った。



自分を見つめる弥勒の眼差しはいつも深くてやさしい。
この瞳に映る自分を見つけるとなぜだかほっとするのだ。
いつもいつもあたしだけを映していてくれる

その瞳だけは永遠なのだと・・・・・・・・・





「おい?・・・・・あいつは・・・・」
犬夜叉が怪訝な声を出す。
見つめつづける弥勒の背後から一人の男が現れた。

「・・・・・・見つけたぜ〜〜〜〜てめぇ・・・・・夕べはよくも・・・・・」

振り向くとそこには夕べのあの男。
「てめぇらのおかげで一晩ぶちこまれたんだ・・・・お返ししねぇと俺のメンツがたたねぇ!!」
そういうと懐から銀色に輝くぶっそうなものをとりだす。


「・・・・・・やれやれ・・・・男にまとわりつかれても嬉しくないのだが・・」
弥勒が大げさに肩をすくめてみせた。

「ふざけんじゃねぇ!!」
男がナイフを弥勒に振り下ろす。



「先生っっ?!」



珊瑚の叫びにも冷静に、滑らかな動きでナイフをよけると
すでに弥勒は男の後ろをとっていた。

「なっ!!!!!!」
振り向くより早く男の腕は逆手であった。
弥勒の腕に捕らえられた右腕は
本来まがらないはずの側に曲げられようと力を込められ、ぎしりと音をたてる。


「!!!!!いてぇーーーーーーーっ!!」


絶叫に近い男の声に
「そりゃ痛いでしょう、反対に曲げてんですから」
弥勒がしれっと言い放つ。
どこにそんな力があるのか。
弥勒にがっちりと捕らえられた男が逃れようともがくがびくともしない。



「・・・・運が悪かったな?俺は今とんでもなく機嫌が悪いんだ・・」
その腕にまた力が加えられた。

「!!!!!!!!」
すでに男の声は言葉にはならず。
「もうちょい力いれたら確実に折れるぞ・・・・?」

限りなく低い声で男に囁く弥勒。
それははったりでもなく真剣にやりかねない響きを含んでいた。
「腕を折られるのがいいか、このまま消えうせるか・・・・どうする?」
「・・・・・・・もっ・・・・もう・・・しませ・・・・・・・」
ようやく声を絞り出した男を蹴り飛ばす。
そいつは悲鳴を上げながら後ろも見ずに、一目散に逃げていった。



「先生!!」
珊瑚があわてて弥勒に駆け寄った。
涼しい笑顔で珊瑚を抱きとめる弥勒。





「心配してくれました?いやぁ〜危なかったなぁ」
「・・・・・・・相手の男が・・・・でしょ?」





相変わらずの余裕な婚約者にあきれながらも珊瑚はほっと胸をなでおろした。
「それにしても・・・・夕べといい今といい・・合気だけじゃないんだ」
「・・・サブミッション護身術ですよ」

「は???」
「サブ・・・・・???」
「なんだそりゃ?????」
同時に三人が素っ頓狂な声を上げる。


「いろんな武道家の友人がいましてね〜空手だったり柔道だったり・・・」
にっこりと笑う弥勒。
「これはちと特殊で関節技を主とした護身術なんです。
お互いの得意分野を教えあう、いや〜持つべきものは友ですな〜」





絶対にこいつだけには逆らわねぇ・・・・・・・





男を締め上げてすっきりしたのかうってかわって晴れやかな弥勒の笑顔に
そう心に誓う犬夜叉だった。





おまけ  完



後書き

ギャラリーに置いてある一枚の板絵からこの話は出来上がりました。ただ珊瑚の悩殺
ビキニ姿が描きたくて・・・・(笑)初め前後編くらいの短編で書き上げるつもりが、内容が
膨らんでいって結局今までのものと変わらないくらいの長さになってしまったわ(笑)
書きはじめるときにはおおまかなプロットがあるんですが、今回は前編かいた直後に
内容が増えてました。こんないきあたりばったりな書き方でよくいつもまとまるものだ、と
自分でも感心しちゃうよー(苦笑)弥勒先生の「上段蹴り」はどうしても書きたかったのv
合気道には蹴り技はないので、空手あたりもかじってる、という設定にしてます。
男は強くあらねばvむろん精神的にも・・・です。その点では弥勒先生はもろ私の趣味
ですね〜(笑)



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