2月13日 晴れ


今日夜遅くまで姉さんが台所で明日の準備に終われていた。
夕飯の片付けもそこそこになにやら大きな鍋を蔵から取ってくると
あたり一面に甘いにおいが漂い始めたんだ。

何を始めたんだろうと興味深々に台所に入ろうとしたら、姉さんは


「琥珀!?まだきちゃだめっ!」



・・・・・・なんて顔も見ずに即答されちゃった(笑)


なんで僕だってわかったんだろう?
姉さんはいつもそうだ。
後ろからこっそり近づいて驚かそうとしても、たいていはその前にくるりと
振り返られちゃうんだよ。
気配殺してるつもりなんだけど、まだまだなのかな僕。

でもどうしても気になったからこっそり遠くから覗いてみたんだ。

そしたら山のようなチョコレートの塊を、せっせと鍋に放り込む姉さんが見えた。


何作ってるんだろ?ってすごい不思議だった。
お菓子作りはいつもしているけど、あんなに大量なチョコ見たことないや。
首をかしげながらリビングへ戻ると、そこにはのんびりとお茶をすする弥勒先生が。
おもわず聞いてみたさ。

「弥勒先生、姉さん何してるか知ってる?」

そしたらなんか一瞬不機嫌そうな顔をしたかと思うと、何事もなかったように
いつものにこやかな笑顔で僕に教えてくれた。


「明日のチョコレートケーキを作っているんです」
「明日の?明日なんかあったっけ・・・・・?」

ますます余裕の笑みを浮かべる先生。


「まだまだ琥珀は子供ですね。明日はバレンタインでしょう?」


そうだった。
女の子にとっては一大イベントなんだろうけど・・・・・



僕にはよくわかんないな。



でもどうして弥勒先生は不機嫌そうな顔したんだろう。
自分だって姉さんからもらえるんだから楽しいはずだよね。
チョコレートケーキが嫌いだとか?


・・・・・・・・そうだっけ???

まぁいいや
とりあえず姉さんのおいしいチョコケーキが食べられるのは確かだから
明日はいい一日だね。



まだ姉さんは台所みたい



僕はもう寝よう

おやすみなさい・・・・・





2月14日 くもり



今日はバレンタイン。
夕べ遅くまで作っていたチョコレートケーキをきれいにラッピングした姉さんが
朝から道場にきている男の人達に配っていたようだ。

なんかいつもより人が多いような気がしたんだけど・・・?
気のせいかなぁ


で相変わらず機嫌の悪そうな弥勒先生がいたし。
姉さんが包みを渡すたびにため息なんかついちゃってさ
そんなにチョコレートが嫌いだったなんて・・・・覚えとこうっと。


そうして学校へ行ったら下駄箱になんかたくさん入ってた。

一瞬下駄箱間違えたかと思ったよ。
だって上履きが見えないくらいだったから。


これって・・・・チョコレート?

僕なんかにくれる女の子がいたんだ。
信じられないけど一日女の子に呼び出されてチョコ渡されて・・・


「好きです、付き合ってくださいっ」



・・・・・・・・なんて必死の女の子もいたけど僕にはまだわからない


「僕も大好きだよ?友達だもの」


そういうとみんながっかりした顔していっちゃうんだ。
姉さんだっていつもたくさんの人に言ってるよ。



「友達だから大好き」って。



友達っていけないことなのかな。

このことは今度機会があったら弥勒先生にでも聞いてみようっと。





家に帰ったら弥勒先生がこっそり僕に耳打ちしてきた。

「琥珀、どうでしたか?少しはもらえましたか?」

自分ではとてもじゃないけど食べきれないので
にっこり笑いながらカバンからもらったチョコの山を差し出して言ったんだ


「弥勒先生にもあげるよ」


なんだかそれを見たとたん落ち込んでたようだった。


・・・・・・あ!チョコ嫌いだったんだっけ・・・・悪かったかなぁ


夕食後のデザートはもちろん姉さん手作りのチョコレートケーキだった。
うんvやっぱり姉さんの作ったものはおいしい。
父さんだって普段甘いものなんか食べないくせに、今日は特別だなんて
言っちゃって2つも食べてた。
あとで絶対胸焼けして薬飲むのわかってるのに。


胃薬あったかな?出しといてあげよう。
父さんはいつも姉さんには弱いんだから。世話が焼けるよ。


弥勒先生は・・・・なんか寝る前には上機嫌だったみたい。

なんかいいことあったのかな。
よくわかんないけどよかったよかった。



さーて虫歯にならないようきちんと歯磨きしなくちゃ!


また明日もいい日になりますように・・・・・・

あ!忘れないよう書いておこう。





     追記   
 
       ────弥勒先生はチョコが嫌い。





以上











後書き

一万打お礼をこめて短編書かせていただきました。
今回は初めての琥珀視点。日記という形で彼の心情を語らせてみました。
バレンタインの出来事ですが、さて弥勒先生はなぜ機嫌が悪かったのでしょう?
やはりいくら義理とはいえあまりにもたくさんのチョコレートケーキを作る珊瑚の姿が
気に入らなかったものと思われます(笑)琥珀に差し出されて落ち込んだのは?
子供だとたかをくくっていた琥珀の方がもらったチョコの数が多かったらしいです。
無欲の勝利ですね〜。
これ琥珀の知らないところで先生と珊瑚とのやりとりがあるのですが、それはおいおい
また別で書いてみようと思っています。
これに時間があったら挿絵を描いてみたいなvと企み中。

とにもかくにも一万打!どうもありがとうございましたv



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琥珀日記