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 ニューヨーク
   722から192へ ニューヨーク。 とてつもない富と信じ難い貧困とが同時に存在する世界の中心地。アメリカンドリームを夢見て己が力を信じる野心家どもが、
 世界中から集まる人種のるつぼ。20世紀初頭の名残を残すビルや
 饐えた舗道から吹き上がる水蒸気と最新鋭のハイテクが、自然に同居する街。
 オレはこの街を訪れる度に、ニューヨーカーのパワーをはらんだ風を頬に受けて心地よい緊張を味わったものだ。独特の活気と熱気に溢れていた自由の街だった。
 2001年9月11日。 一年が過ぎ、双子の摩天楼は跡形もなく消え果
        てたけど、テレビの画面から流れてくる映像では、エンパイア・ステートビルは以前と同じように
 雲をついてそびえているし、クライスラーもその横で優美な姿を見せている。
 セントラルパークの豊かな緑や、五番街のしゃれた店舗もオレの好きなニューヨークの光景だ。
 でもあの日を境に何かが変わってしまったことだけはわかる。母国の自由のを誇り、生を謳歌する自信に溢れたアメリカの人々の姿はもうない。猜疑と陰謀と監視に包まれた
 重苦しい雰囲気が全土を覆っていると言われる。
 しかし、あの風まで変わってしまったのだろうか?希望と失望、成功と失敗、生と死まであらゆる相反する要素が、反発しあいながら
 攪拌され一つになった「ニューヨークの香り」のする風は?
 しかしオレは9・11後のニューヨークを知らない。
 ちょっとキザに格好付けてみたけど、192は両方のニューヨークを知っているんだよな。今回はオレたちの出会いの記念の土地でもあるニューヨークについて、その魅力や楽しみ、
 人々の心についてなんかをしっとりと語ってみたいんだが。
 NYでは、どこが一番印象に残ってる? 
        9・11の前と後ではニューヨークは変わったか?    ▼   192から722へ 帰国してからもうすぐ1年たとうとしてるわけだが。 おまえなー、ニューヨークに思い入れたっぷりのところ悪いけど、まじで東京のほうがすげーって。ものは何でも大量にそろってるし、安くても品質は良いし、清潔だし、
 なにより治安が悪くなったっていったって、いまだにノホホンとブラブラ歩けるじゃん。
 ニューヨークは、おトイレ番のいるおトイレじゃないと、安心して用も足せんのだよ。毎回チップ払わなけりゃいかんのだよ。おトイレ番はインド人とかのマイノリティで、
 ほんとに昔の奴隷のような下働きファッションで、チップ渡すたびに胸が痛むんじゃ。
 一等地のプラザホテルみたいな超高級ホテルだってそうなんだよ。
 そんな危険な都市が、自由なパラダイスといえるだろうか?
  9・11の前は、世界一の大都市というプライドが高くて、 
        ニューヨークの人は旅行者を見下すようなとこがあった。けど、 9・11から、 悲劇のヒーローのカタルシスを
 共有してほしいんだか、とても丸くなった。 消防士さんたちなんてもうスターなせいか、
 消防署のまわりをカメラもってウロついてただけで、 あっちからニコニコしてよってきて
 制服とメットかぶせてくれて記念写真撮ってくれたよ。
 まあそれはとっても嬉しい体験だったけど、そのかわりセキュリティは厳しくて、どこに行くにもボディチェックの嵐。駅にはM16持った兵隊さんが目を光らせてるし。
 たしかに建物の雰囲気とか、音楽やファッションとかの文化や、ニューヨークゥ 
        〜!!って味わいは他にないものもあるけどな。でも日本でのイメージする素晴らしい都市でもないと思う。
 
   ▼   722から192へ いきなり自分の世界に入ってたんでレスしづらかったかね? 
        オレもニューヨークより日本の方がよほど暮らしやすいことくらい解ってるさ。
 自由なパラダイスなんて思ってないし、治安の悪い場所のすごさは日本の比じゃない
 ことも知ってるんだけどね。
  研修やオフなど短期滞在ばかりだから、本当に現地に根を降ろしたらまた違うだろう。アメリカの実情や日本人がどう思われているかが書いてある文書を読んだことがあるけど、
 興味深くあると同時に悲しかった。人種差別のカベが厳然として存在するんだ。
 階級社会が出来上がっていて、アメリカンドリームがかなうのは奇跡に近いことだって。
 この前掲示板で話したけど、アメリカには貧しいハーレムの黒人より更に見捨てられ無視されたネイティブ系がいる。 民族ヒエラルキーの頂点は昔メイフラワー号でアメリカに
 来た清教徒の子孫たち。 昔マフィアで鳴らしたイタリア系、チャイナタウンを支配する
 中国系、食品関係のコリアンなど雑多な民族が 狭いマンハッタンを分割してコロニーを
 形成してる。 そろぞれの民族は悪感情を持つか無視しあってるのに、一つの国として
 まとめられてるんだ。 それで外国へ軍隊を送ってるんだから、矛盾だらけなのは当然だな。
  >そのかわりセキュリティは厳しくて、どこに行くにもボディチェックの嵐。>駅にはM16持った兵隊さんが目を光らせてるし。
  アメリカは9・11からずっと戦争状態にあるってことだよね。現実に本国で戦闘がないだけで、アフガン、イラクと次々と攻め込んでいるもんな。
 ケネディ空港だけじゃなくて国内空港なんかも緊張感でピリピリしてるんだろうな。
 本当に以前とは違う国になったな。 夜中に騎馬警官がパトロールするのはあの街に
 溶け込んだ一つの風景だったけど、 M16の兵士は無粋で似合わないな・・・
 >たしかに建物の雰囲気とか、音楽やファッションとかの文化や、ニューヨークゥ 
        〜!!って>味わいは他にないものもあるけどな。でも日本でのイメージする素晴らしい都市でもないと思う。
 うん。言いたいことはよく理解できるよ。でも旅行者を見下すというけど、パリなんかとはやはり違うんだよ。
 オレはおフランスマンセーと思われてるけど、そうじゃないさ。
 英仏の人間のイジワルさは、短い期間しか滞在しない旅行者にも伝わるほど顕著だよ。
 欧州大陸の長い歴史の中で練り上げられた香を焚きしめたような陰険さなんだ。
 同じ根っこから出てるにしても、ニューヨークの雑多な人々の方が懐かしく思える。お気楽なヤツと
 言われるかもしれないけど、 自分で体験したことも事実だから、その思いは大事にしたいな。
   ▼   192から722へ ここだけのはなし、正直白人の選民意識はすごいものがあるよな。もちろん多民族社会だから、表面的には差別的なことしないけど(人にもよるけど、いちおう
 社会のマナーのようにはなってる)、白人だけ集まったときにはけっこうホンネで話すみたい。
 9・11のことなんかも、インテリは当初からアメリカの中東政策の失敗だったなんて言ってるけど、
 内心はやっちまえ〜!って部分もなきにしろあらずだなとかんじたことある。
 白人同士でもいろいろあんだよ。イギリスやフランスから来た人たちが意地はりあったり、いっしょになってドイツやアイルランド移民をバカにしたり。いまはモロはそういうのないみたい
 だけど、子供のころに来た30才くらいのドイツ人からは、そうとうイジメられたって話聞いたよ。
 悲惨なのは、マイノリティはいちおう公共や大企業の仕事で、一定の数は入れなきゃいけないって保護政策があるから、バッグマン(乞食)は圧倒的に白人が多いのな。プア・ホワイトってやつだよ。
  それから、マンハッタンを離れてロングアイランドまで1時間ほどのドライブしたんだけど、途中の街は黒人だらけで、 ちょうど千葉やさいたまあたりのヨーカ堂ぽいファッションビルがある
 一見フツーの小奇麗な街なんだけど、 あっちに住んでる人でさえ、車から出るのは危険だと言ってた。
 ジャマイカストリートって道路沿いだよ。
  いちおう日本人は観光でお金をおとすお客様って雰囲気はあったけどな。どこでも親切だった。そう、お金。ニューヨークはお金もってればほんとに楽しい街。
 けど、ビンボー人には厳しい街だと思う。なんたって、歩いてる人見るだけで 
        階級がわかるもん。
 日本ではなじみのない人間の風景だよな。
 
   ▼   722から192へ そうだよなあ。表向きはきれいを事言って親しげにしても、白人たちは心底では有色人種を蔑視してるんだ。
 金を持っているから日本人は相手にしてもらっているだけで、決して本当には打ち解けないんだろうな。
 日本が白人の国だったら、アメリカは核を使わなかったろうという人もいるね。
 9・11は見下していたアラブ人に自分達の本拠地を攻撃されたんだから、やっちまえ〜!となるだろう。その後は白人至上主義集団が母体のようなネオコンが堂々と表舞台に出てきたしね。
 >白人同士でもいろいろあんだよ。イギリスやフランスから来た人たちが意地はりあったり、>いっしょになってドイツやアイルランド移民をバカにしたり。
 WASPってのが支配階級だろ。 
        ケネディはカトリックでアイルランド移民の子孫で非WASPだったから、反感持つ連中もいたらしい。
 とにかく仕事も住居もライフスタイルもすべて階級によって分かれているらしいね。
 白人同士で張り合い有色人種を差別しながら一つの国になってるんだから、ややこしい国だ。
 つまり192はニューヨークで、アメリカの真の姿が凝縮されたものを見たわけだね。はっきりとした階級社会、人種差別、ドラッグ、犯罪と負の要素が一番印象に残ったんだな。
 今回の旅行でよかったと思うところについても聞かせてほしいな。
   ▼   192から722へ 俺もニューヨークはちょこっと垣間見ただけだから、真の姿かどうだかわからんけど、住んでたとこでの体験もふくめて、結論だけ先に言えば日本を見直した。
 といっても、いまの方向を見失った日本じゃなくて、脈々と続く本質的な日本のことだけど。
  ニューヨークのよかったところは、やっぱあのデカダンな街並かな。ヨーロッパの伝統を崩したあやうい先進性がある。
 その妙な先進性がもたらす閉塞感は、たしかにポップアートを生むのに最適な土壌かもしれん。
 街で見かけた黒人のヒップホップダンスとかスラムダンクそのもののバスケもかっこよかったし、何件か回ったライブハウスでのジャズやロックの演奏も、さすがに本場だけあって圧倒された。
 店先の小物とか、ちょっとしたレイアウトも、こなれててセンスよかった。
  それからロングアイランドって、ダウンタウンからたかだか1時間で、大西洋を見渡す真っ白なビーチの高級別荘地なんだよ。長いボードウォークのある洒落たビーチには白人ばかり。
 シーズンだったのにぜんぜん混んでない。観光地まで階級によって集まるところがちがうんだ。
 ニューヨーク在住の金持ちになった妄想してるのが、いちばん楽しいかもしれないよ。そういう意味で、722の楽しみ方が正解なのかもしれないな。
 いずれにしても、ニューヨークはいちどは見ておく価値のある街だよね。ミーハーなしめくくりで悪いが、おこずかいたくさんもって、また行きたい。
 ライブハウスのはしごして、オイスターバーで思うぞんぶん牡蛎食いてえよー!!
     
           2003.8.1 
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